ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 天空の支配者
- 日時: 2012/03/10 15:13
- 名前: 朱音 ◆ONTLfA/kg2 (ID: OivCRmmW)
朱音といいます。
初めて書きます。よろしくお願いします。
ファンタジーです。
目次とかよくわからないのでないです。
—登場人物—
シーゼ
物語の主人公、16歳。危険任務専門のファルエラとして世界を飛び回る。あまり感情を表に出さない。飛行術に長けている。
ミア
とある島に連れ去られた、不思議な少女。『百年の大魔道』の異名を持つ。紅い瞳を持ち、強大な魔法を操る。
ゲルド
42歳、運び専門ファルエラを数十年も続けてきたベテランのファルエラ。シーゼに少女奪還を依頼する。
老婆
何らかの目的で少女を捕らえて神殿に監禁している。
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- 天空の支配者 ( No.1 )
- 日時: 2012/03/10 15:21
- 名前: 朱音 ◆ONTLfA/kg2 (ID: OivCRmmW)
—プロローグ—
物語の舞台は、どこかにひっそりと存在する天空都市、ラグデリア。
そこには、人間とそっくりな姿をした者が住んでいた。
しかし知能は人間よりも遥かに高く、彼らの世界では大きな文明が築かれていた。
そんなラグデリアには、依頼された仕事をこなし、報酬を得て生活する者がいた。——空の何でも屋、ファルエラである。
—用語解説—
ラグデリア
物語の舞台となる世界。荒れた海で阻まれたいくつもの小さな島々で構成されている。『天空都市』という名の由来は、飛行機産業が著しく発達し、島と島の移動はほとんど飛行機で行われているから。
ファルエラ
依頼された仕事をこなし報酬を得る、『空の何でも屋』。仕事内容により、細かくランク分けされている。
ルディオン
主人公、シーゼの操る小型飛行機。たいていの銃弾は跳ね返す。最新型の機能が詰め込まれた、高性能な飛行機。
ランゲイ
ベテランファルエラ、ゲルドの操る飛行機。強力な爆弾を積み込んでいる。少し旋回機能に劣る。
紅い瞳
魔力に比例して、瞳が紅くなる。
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変な用語が出てきたら、また増やすつもりです。
- 天空の支配者 ( No.2 )
- 日時: 2012/03/09 18:05
- 名前: 朱音 ◆ONTLfA/kg2 (ID: OivCRmmW)
透き通った空の下。ついさっきまでたくさんの飛行機が空を飛び交っていたのに、このあたりになってくると、迷った飛行機でさえも見当たらない。本当に静かなものだ。
シーゼは少しハンドルから手を離して伸びをした。もう五時間くらい運転席で座りっぱなしで、腰が痛いったらない。
『おい、シーゼ!』
いきなり通信機が起動し、モニターに一人の男が映し出された。
もじゃもじゃのひげ、顔の片方を覆う包帯。
「なんだよ、ゲルド」
『おい、依頼主だぞ!“さん”つけろよ!あと運転中にハンドルから手を離すな!』
「いいじゃないスか、ゲルドさん。俺のルディオンはあんたのランゲイよりずっと高性能で、自動で運転してくれるシステムなんてのがついてんスから」
『ランゲイにだってついてるわっ!そういう便利な機能に任せて注意を怠るから、この間の接触事故みたいなのが起こるんじゃないかっ』
ゲルドはため息をついて、呟いた。
『これだから最近の若いモンは…』
「だいたい俺、今日は長期休暇だったんスよ。せっかく最近機嫌悪くなってきたルディオンを修理に出して…とか考えてたのに、あんたが自分が失敗した仕事を俺に回してきたりなんかするもんだから、計画全部パーじゃないスか。これは高くつきますよ」
『失敗したんじゃない。そもそも俺に来た依頼でもない。仕事でたまたまこの辺に来たら、女の子の悲鳴が聞こえる。でも声が聞こえたところに近づいた瞬間、銃か何かで撃ち落とされた。ちょうど客を乗せてるところだったし、これは老いぼれファルエラの俺には無理だ。依頼所に行くと、ちょうど危険任務専門のファルエラの手が空いてる。しかもそいつは俺の知り合いだ…』
「…きたねー」
『お前に仕事を拒否る権利はねえ。救ってやりてえじゃねえか。かわいい女の子が苦しんでんだ』
「あんたの地獄耳は知ってますけどね、そんな中途半端な理由で高価なエンジン動かす俺の身にもなってくださいよ。マジで高くなりますから。十万は余裕でいってますから、これ」
『おい、そろそろ見えてきたんじゃないか?目的の島が』
目を窓に向ける。
「…あれですか?別に普通の島に見えますけどね」
『普通じゃねえ島なんてどんな島なんだよ。慎重に近付けよ。油断してたとはいえ、この俺でさえやられてんだ』
「ナメんじゃないスよ。だてに六年も危険任務専門やってないスから」
再びハンドルを握りなおし、ゴーグルをはめる。
「うしっ、いくぜ」
アクセルを思い切り踏み込んだその時、目の前を強烈な光が覆った。
「うわっ」
機体に衝撃が走り、落下していく感覚がした。ルディオンは、島に向かって真っ逆さまに落ちていった。
ここは、島の中心にある神殿。中には、祭壇に鎖でつながれた少女と不気味な老婆がいた。
『村長』
老婆の持っていた通信機が起動した。
「なんじゃ」
『また村付近に現れた曲者を撃ち落としました。』
「そうか…。可能性は低いが、まだ生きているかもしれん。確実に息の根を止めてこい』
通信を切ると、老婆は少女に近付いて耳打ちした。
「助けを呼ぼうが無駄じゃぞ。いまだかつて、この島に入って生きて帰った者はいない。お前を逃がしはしない…」
少女はそっとため息をもらした。バカな奴がいるものだ。助けなんか必要ないのに。だが、あんなところで悲鳴をあげたのは私のミスだったか。私には、助けなんか必要ない。私は、苦しむために存在するから。
- 天空の支配者 ( No.3 )
- 日時: 2012/03/10 15:10
- 名前: 朱音 ◆ONTLfA/kg2 (ID: OivCRmmW)
老婆に、一人の男が近付いた。
「村長、魔力の準備が整いました」
老婆は怪しげな笑みを浮かべると、少女に言った。
「ふふ、魔法使いは魔力が無くなると死んでしまうそうな。これで『百年の大魔道』ミアも終わりじゃな」
「殺す前に、あなたたちの目的くらいは教えてもらえないでしょうか。私の魔力をどうしようというのですか?」
老婆はミアに背を向け、少し怒っているような口調で言った。
「それは我にもわからぬ。機密情報は本部が握っているのでな」
本部に道具として扱われていることが腹立たしいのだろう。老婆は少し不機嫌そうになった。
「本部はどこに?」
「そんなことを聞いてどうする?お前はもうすぐ死ぬのじゃ!」
まずい、聞きすぎたか。再び口をつぐむ。
「あれを持って来い。魔力を抽出する」
老婆は、ミアの腕に鎖をつなげた。
「これは?」
「村の魔法使い皆の魔力じゃ。こいつを流し込み、お前の魔力を奪う。ふふふ、これで我の出世は確実。死ね、今世紀最強の魔法使いよ!」
体に魔力が流れ込んでくる。かなりの量だということがわかる。私一人の魔力を奪うために、たくさんの魔法使いを殺したのか。
また私のために、たくさんの命が奪われていく。
「まったく、人間とは愚かなものだ…」
ミアの言葉に、老婆は突然あせり始めた。
「なに!?魔力がまったく抽出できていない!しかも今までの魔力がすべて取り込まれている…!?」
ミアの瞳が紅く光った。
「人の命を奪ってまで力が欲しいか。神の所有物である命を貴様ら人間風情が勝手に奪うことは許さぬ!我が魔法をくらうが良い!!」
神殿の中が紅く光り、巨大な爆発音がした。
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