ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

赤い信号機恋をする。 −凶愛ー
日時: 2012/03/09 22:03
名前: かかし (ID: Aj4Ev7bA)

「あぁ、今日もいた・・」
僕は今日も横断歩道の向こうにいる彼女を見ながら呟いた。
『でさー』『えーマジ?』『すごいよねー』
隣にいるのは友達だろうか、笑いながら会話をしている。
僕が彼女に恋をしたのは一週間前のことだった。一目惚れだった。清楚な女の子でもなく、ギャルでもなく。ボーイッシュな見た目のショートヘアー。必ず黒のジャンパーを着ていつも半ズボン。顔は上の中。どこにでもはいないだろうが、一度は見かけたことぐらいあるような女の子なのだが、一週間前、この横断歩道で信号待ちをしている彼女をみて視線を逸らすことができずに、信号が青になっても立ち止まって視線で彼女を追ってしまった。
『あははは』
彼女の笑い声は自分に向けられていなくても幸せな気分になれる。おそらくこれからも絶対に僕に向けられることはないだろう。僕と彼女はそもそも知り合いでもない赤の他人だ。学校だって違う。そう考えると僕の恋は絶対的に実らない。そう思うとすごく苦しくなる。
また今日も彼女とすれ違う。
『学校めんどいねー』『本当に担任ウザいわー』
彼女はきずかないだろう。僕を知りもしないだろう。



                ●


キーンコーンカーンコーン
チャイムがなって僕は席に着いてホームルームが始まる。
「えー、今日は皆に嬉しい知らせがある。転校生だ。」
担任の田村先生は得意げに転校生がくる事を伝えたが
『先週も言ってただろ』『誰もが知ってるわ』
クラスメイトの表情は変わらなかった。
「もう来てるから」
生徒たちの反抗?を無視して話を進める。別に興味はないが気になってしまう。
「じゃあ、入って」
ガラガラ
入ってきたのは
「平和ヶ丘高校から転校してきました。上条明日香です。仲良くしてください」

彼女だった。
奇跡だ。奇跡が起こったんだ。
神様がきっと神様が僕の恋を叶えようとしてくれているんだ。うれしい。今すごくうれしい。さっきまで興味のなかった事がこんなにも嬉しい事だった。「えー、今日は皆に嬉しい知らせがある。転校生だ」本当だ嬉しい知らせだ。でも言い換えるなら皆にじゃなくて、僕に、だ。
名前明日香っていうのか。上条さんって呼ぼう。そして告白できるくらい仲良くなろう。あぁ、すごく幸せだ。

「じゃ、そこの席座ってね」

だがそこまで簡単にいかない。彼女は僕と正反対の席だ。僕が窓側。彼女は廊下側。でも、いつか話せるだろう。
『兄弟とかいるの?』『ううん一人』
彼女が隣の席の男子と話している。なんだろうすごく気に入らない。僕の方がきっと彼女を笑わせられる。もっと楽しくできるのに・・
あぁ、早く休み時間になってくれ。僕は早く彼女と話したい。
時計を見るがすごく遅く感じる。担任の声がゆっくりと聞こえる。早く。早く早く・・


                  ●


キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴る。僕は席を立った。

Page:1




この掲示板は過去ログ化されています。