ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

少年眼球を洗う
日時: 2012/03/13 16:05
名前: 久本康 (ID: OK6L9khJ)

 すべてがけがれて見える。中三の二学期。その少年は受験勉強真っ最中で暇などみじんもないときである。そいつはわりとまじめで勉強は偏差値50くらいである。そしてブスにもてる。何の楽しみもない。友達とは趣味が合わない。当然会話もかみ合わない。そんな微妙な中学校生活のさなかである。
 

  あるときそいつは、間が長く話のテンポの悪い新任教師の授業を受けていた。先生が生徒に質問を投げかけた。生徒は頑張って考えているようだが、答えられなかった。次に先生はそいつの前の生徒に質問を投げかけたが、当たった瞬間「わかりません。」ときっぱり言い捨てた。とても腹が立った。だがそいつを無視して次の生徒を当てる先生も先生だ。そして次にあてられた生徒はかなり真面目な奴だ。これは期待できそうだと思っていたら案の定そうなった。はきはきと優しく語りかけるような声で答えた。教室内がざわざわする。声を上げてはやし立てるような声がしだした。もちろん新任教師だからそれを抑える力もない。
 

 このやり取りを見て少年はつくずく人間が嫌になった。何も言わないほうが無難、そんな授業をやる必要があるのか。鹿児島生まれのそいつはイジイジしているやつは嫌いだ。だが正義の通らないやつのが何百倍も嫌いだ。そいつはすべてが嫌になって教室を飛び出した。夢中で走ってるうちに少年は自分の目がけがれているからそう見えてしまうのかと思いはじめた。そして少年は近くにあった泥沼で眼球を洗った。痛みなど気にしないでとにかく洗った。手に泥をつけて洗った。必死に洗っているうちに少年の目は見えなくなった。当たり前だ。だが世の中これよりひどいことはいくらでもある。殺人に人身売買、強盗などいくらでもある。私の知らないものなんていくらでもある。そのすべてとは言えないが、社会の闇を暴いてやる。
 この話を聞いてそう思った。

Page:1




この掲示板は過去ログ化されています。