ダーク・ファンタジー小説
- Re: 吸血鬼と暁月【楽園の華 オリキャラ募集中】 ( No.130 )
- 日時: 2013/01/21 00:29
- 名前: 枝垂桜 (ID: hVaFVRO5)
「貴方は私が思っていたより大きな存在なのですね」
『そんな事もないわ。〝精霊さん〟』
「でもやっぱり、あなたみたいなド畜生は好きじゃないです。嫌いです。大嫌いです」
『ふふ。別にいいわ。貴方もきっと、私にひれ伏す時が来る。その時は刻々と近づいている。そしてその時とは───朱璃が私を求めたその瞬間よ』
「…………」
『それにしても、ファミルがこんな強引に朱璃を連れてくるなんて……』
「それを止めなかったのは貴方でしょう」
『それは私が朱璃の魂を喰べるためよ』
+ + +
それはまだミラルが来てから数日しか経っていない今日。
なんと吸血鬼界から使者が来たのだった。しかもその使者五人は突然朱璃の前にひざまずき、頭を下げた。
「───朱璃様」
マーチと天狐以外で「様」付けで呼ばれ、呆然としていた意識が返ってくる。
「朱璃様って……」
『あらあら、面白いお客様じゃない』
部屋の奥からイヴがやってきて怪しく笑い、ミラルが身構えるかのように後ろで構えた。
「これはイヴ卿。ご機嫌麗しゅう」
『礼儀がなってるのね。どこぞの精霊とは大違い』
横目でミラルを見るその目は笑いを含み、細くなっている。ミラルは不快を覚えたが、今は吸血鬼界の使者の前だ。ぐっと堪える。
「貴方をお迎えに窺いました───王子」
「王子……?」
「おや、聞いていらっしゃらない?」
「聞いた事がないです」
「左様ですか。……確かに貴方の御父上、沙雨殿も嫌がっていましたからね」
最後の言葉は、男は誰にも聞こえない声で呟いた。
+ + +
『それでは困るのです! ファミル王は貴方を推薦している! これほど光栄なことはないのでは? 断る理由がないでしょう!』
『僕にはある。僕には〝王〟になるだけの器はない』
『いいえ。ファミル王は間違う事がありません』
『何故? 彼も生きているんだ。間違う事くらいあるだろう』
『貴方はファミル王があれほど愛している国と国民を見捨てるのですか?』
『僕が愛しているのは国でも国民でもない。
僕が愛しているのは───朱音と朱璃と僕に従ってくれた仲間だけ。
それは今までも。これからもだ』
『しかし朱音様は消え───』
『その続きを言ってみろ。
────君は二度とその『愛する国』に帰れない』
+ + +
───大昔死神に誘拐されて薬漬けにされ、死神の子として軍事勢力として育てられ、無気力に生きて、ただ戦っていた道化が、ここまで変わるとは。
「父さんが国王……?」
「はい。そうです。貴方は吸血鬼界の王子で───」
「違います」
そこまで行ったところでミラルが口をはさんだ。
「貴方のお父上、沙雨様はそれを断りました。なので貴方は王子ではありません」
「ああ……そうなのか」
ほっ、と息をついた朱璃に対して、誰にも聞こえないように舌打ちをした。
息子から丸めこもうとした作戦は失敗に終わったのだ。
「お引き取り下さい。朱璃様は王子ではありません」
「───ならば」
突然に辺りが漆黒に染まった。
そこにあった朱璃や五人の男の姿が見えなくなり、首に激しい衝動があったかと思うと、意識が飛んで行ってしまった。
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Dr.クロ様 マスベル様、素敵なオリキャラどうもありがとうございました!
是非使わせて頂きます!
ふと思ったのですが、この作品全体で、自分が作ったキャラクターよりオリキャラの方が圧倒的に多い事に、今更気付きました。
数えてみたところ、自分で考えたキャラクターは、
『吸血鬼と暁月(本編)』→沙雨・朱音・久遠・皐月・ファウスト・静香
『吸血鬼と暁月 楽園の華』→朱璃・イヴ・ファミル・マリー
自分でも覚えていないかも……。
まあとりあえず、少ないですね! ミツハとか覚えられていない気がする……。
10に対してオリキャラ様方が18という。ちょっと絶望的ですね(汗
では失礼しましたー。