ダーク・ファンタジー小説

Re: 白夜のトワイライト【完結版】第3話完結しました。 ( No.28 )
日時: 2012/08/26 15:45
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: er9VAvvW)

いつからか、逃げようとしていた。
何故か分からなかった、何故悲しいのか、何故虚しいのか。

大切なものが何か分からなかった。大切なものを守ることが何か。自分のことは分かってるつもりではいた。
君を守れるだけの力がない事も。君のことをどれだけ想っていても、どう足掻こうとも、何も出来ないことも。

そんなことはとっくに分かっていた。だけど、そんなどうしようもないことさえも、僕は大切な君のことを想うと、どうにもならない。
一番悲しませてる僕のせいなんじゃないのか。
だけど、君だけは離せない。離したくない。君に叫びたい。僕はここにいると。君をそこから連れ出したかった。どれだけ未来が見えようとも、それを覆したかった。

どれだけ無力でも、どれだけ悲しい世界であろうが、どれだけ嘘だらけであろうが、この想いは変わらない。

想いほど確かなものはない。言葉が失おうとも、君がどれだけ変わっていたとしても、どれだけ僕のことを忘れていようとも——

一人きりだったら、見つからなかった。この感情は、探してたどこにもなかった。君が持っていた。君が、そこにいるだけで、その感情に触れることが出来た。


「愛するって、大変だね」


分かっている。そんなこと分かっていた。
僕は、君を満足させられない。君を想うしかない。君はどこにいるのか、未だに僕は分からない。もどかしい想いはどこへ行くのか。

「……僕は君の為に。笑っちゃうね。でも……それもいいかな」

この世界は救われない。救いようのない、嘘だらけの世界。
その中に埋もれるように、君はいるのだろうか。

「いつか失ってしまうものであろうとも、僕はやり遂げるよ」

君の為に。世界は僕達を"殺したんだ"。どれだけ違うとしても、歪むことはない感情はここにある。
変わらない、変わらず僕はここにいる。

「——"黒獅子"様」

声が突如、男の考えを遮った。薄暗い部屋の中で、黒獅子と呼ばれた男は顔を上げる。何の会話もないまま、男はただ頷き、そして口を開いた。

「成功したようだね」
「はい。……手はずは済みました」

暗闇の向こう、黒獅子と対峙するその方は、仮面をつけている。声では女と思われる。しかし、それ以外には何も分からない。


「じゃあ始まるんだね——この"嘘の世界"を壊す為の、全てが」


何故か、悲しそうに黒獅子と呼ばれた人物は呟いた。
まるで、名残を惜しむように。



「——"ディスト"。君は一体何をしているのかな……?」



——————————


【あとがき】
どうも、遮犬です。

何故この時点であとがきを……と思う方がいると思われます。読んでいただいている方がいるならば……のお話ですがw

実は、ここまでが序章です。物語にやっと触れていくのはここからということです。一応、区切りがついているので、あとがきでも書こうかと思いました。

中途半端な演出が多かったと思いますが、勿論第4話以降より明らかとなっていきます。
ルトとは結局誰なのか。研究所関連のことはどうなったのか。白夜の過去はこれから本編と深く関わってきます。

やっと出せた黒獅子の描写って感じです。正直、どこで出すか悩んでいたところではありますが、序章の終わりに出すのが一番かなぁなんて。
こうして序章を読み返してみると、グッダグダですね……。エルトールのことも全然書けてない部分が多いですし、まだまだご紹介したいところがあります。

最後に伏線として黒獅子とディストの関係を何か書きましたが、この関係も見て欲しいところではあります。


ついで、予定としては番外編も書きたいと思っています。那祈とユリアの過去編とか……一応番外編でも書くものは大体決まってる予定です。
果たして読んでいただける方がいらっしゃるのか分かりませんが、回収できるの貴方ってぐらい伏線を張りまくりな形ですけど、頑張って書きたいと思います。


今まで読んでいただいた方、そしてもしかするとこれから読んでいただいた方、本当にありがとうございます。
出来る限り濃密な内容にしたいと思い、長文が多くてまことに申し訳ないです。それでも読んでいただける方、出来れば完結まで読んでいただけたらと思います。
完結版と書いてあるように、完結までまだまだ途方もないですが、頑張っていきたいと思います。

第一章、第4話からです。
白夜の過去等がこれからどのように物語と関係してくるのか。第二の主人公でもある優輝等の活躍も期待していただきたいところです。

以上、長くなりましたがこれにてあとがきを終了させていただきます;
改めて、ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました!