ダーク・ファンタジー小説

Re: 〜竜人の系譜〜 ( No.11 )
日時: 2013/02/10 18:20
名前: 幻狼 (ID: vDb5uiaj)

「……なんだよ」

 空を見つめる2つの光を見て、 フィオは思わず呟いた。隣に立つスレインも、目を大きく開けている。
 太陽に反射する、ふわふわと手触りの良さそうな白い毛。堂々とした太い足。時折覗く鋭い歯。二人を見据える、妖しい輝きを放つ目。

「雪虎……でしたっけ?。綺麗な毛並ですね」

  少しばかりの恐れを滲ませたフィオの横で、スレインはのんびりと言った。いや、恐れなんかじゃない。こんなの、雷竜の比ではないじゃないか。
ぎゅうっと拳を握ったフィオを見て、スレインは微笑んだ。

「では、頑張って下さい」







 少しばかり、時は遡る。
 フィオとスレインは2人での食事を楽しんでいた。急いでサーフェリア王国に行こうとしたフィオを、スレインが止めたのだ。お腹が空いていては、戦も何も出来ませんよ? と。

「そういえば……フィオ。私は少し先にある、隣町を目指そうと思っています。その道中、ちょっとした依頼を受けているんです」

 唐突にスレインが切り出した。それを聞いて、フィオは首を傾げた。

「依頼?」
「えぇ、簡単にいうと魔物退治です。私一人でやる予定だったのですが……貴方がいれば、頼もしいですね」

 ニッコリと笑ったスレインを見て、フィオは少々驚いた。柔らかな雰囲気を持つ彼女からは、戦闘をする姿など想像出来ない。そもそも、武器は何処にしまってあるのか。投げ掛ける疑問の目に気が付いたのか、気がつかないのか、スレインは懐に手を突っ込んでスラリとした銃身を取り出した。本能的に後ずさる。しかし、一瞥するのみで、すぐに元の場所へと戻す。一体何のために出したのか。

「さぁ。そろそろ行きましょう」

 スレインはそう言うと、食事の後を手際良く片付け始めた。