ダーク・ファンタジー小説

【夢幻を喰らう者】※1-19更新 ( No.0 )
日時: 2013/04/01 07:52
名前: だいこん大魔法 (ID: uupAp8Xk)

今更ながら、初めての方は初めまして、そうでないかたはまた、よろしくお願いします^^だいこん大魔法です^^

以前書いていた小説がもう無理だああぁぁと投げ出して一年・・・気分を一転させて、新しく書くことにしました^^;


それでは、再びこのだいこん大魔法を、新しくなっただいこん大魔法を、どうかよろしくお願いします^^


作者現状【ファンタシースターオンライン2をガチプレイしてたら更新ペースがガクッと落ちた(´;ω;`)】





prologue〜終末〜>>0


第一話〜夢幻〜>>1 >>2 >>3 >>6 >>7 >>8 >>9
>>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19

第二話(一話が終わり次第更新)〜Those who eat the Phantom〜

主要キャラクター(現時点での登場人物のみ)

・織塚 冬夜(おりづか とうや)
年齢 17
性別 男
身長172
体重65
使用武器【ブラックフェザー】
夢幻喰【アマテラス】
『夢幻を喰らう者』
『ファンタズマ』所属



・神樹 鈴(かみき りん)
年齢 17
性別 女
身長148
体重「は、はずかしくて言えないよぅ」
使用武器【十六夜】
夢幻喰【未定】
『夢幻を喰らう者』
『ファンタズマ』所属



・中西 隆臣(なかにし たかおみ)
年齢 56
性別 男
身長175
体重76
『軍』
『ファンタズマ』所属


天美 ルリ(あまみ るり)
今現在年齢設定不確定
性別 女
身長145
体重「乙女の秘密ってやつだね」
使用武器【???】
夢幻喰【未定】
『夢幻を喰らう者』
『ファンタズマ支部長』


西岡 流地(にしおか りゅうじ)
年齢 18
性別 男
身長171
体重60
使用武器【ロングソード】
夢幻喰【未定】
『夢幻を喰らう者』
『ファンタズマ』所属



各設定

『夢幻』
夢幻菌、ファンタジーウイルスと言われる、災厄を齎す病原菌。人間以外のすべての動物に感染する力があり、感染した動物を例外なく自我を奪い、強制進化させる力をもつ。さらに、夢幻には不死性があり、菌そのものだけではなく、感染した動物すらも不死に変えてしまい、それだけではなく、すでに死んだ動物にも感染し、無理な強制進化をさせ、蘇らせる力をも持つ。発生原因は不明、しかし、発生した場所がすべて人里離れた辺境の地だという憶測が、人々の中では事実として成り立っている。

『キメラ』
夢幻に感染し、強制進化した後の状態の動物のことを指す。

『シェルター』
人類滅亡を信じきっていたとある政治家が各国に強要して作らせたもの。当時はその計画の無意味さが幾度となく議論されたらしいが、夢幻が生まれたことによって、その存在は認められ、人々はそこに逃げ込むことになる。

『夢幻喰』
夢幻、キメラの細胞、人の血。それらをあわせることにより生まれた人口の菌。それは不死性をもつ夢幻を唯一無力化させ、消滅させる力を持ち、さらに、夢幻に感染しない人間に宿らせることにより、自我を奪うことなく、五感強化という形で進化させることができる。

『ヴァジュラ』
夢幻喰を宿した武器。キメラをこの武器で傷付けることにより、内に宿る夢幻を消滅させることが可能。
強制進化の応用により、このヴァジュラにはブラッドアーツ、希にブラッディアーツという力が宿る。

『夢幻を喰らう者』
夢幻喰を体内に宿し、ヴァジュラの使用を許可された人間のことを指す。これらの人間はすべてファンタズマという組織によって管理される。

『ファンタズマ』
夢幻を喰らう者と、国の軍隊が連携して成り立つ組織。夢幻を喰らう者のメディカルチェックや、『ヴァジュラ』の整備、開発、さらに、シェルター内の生活に必要なものの開発など、さまざまなことを請け負う。昔でいうところの政治も担っている。

『夢幻魔術』
キメラの使う異能力。
メカニズムは、「夢幻」が体内にやどり、進化する過程でその個体に宿るもの、とされている。
ブラッドアーツは、この「夢幻魔術」の応用とされている。





prologue〜終末〜


賽は投げられた。
目の前ですべてが、壊れていく。
巨大な塔が、巨大なビルが、家が、人が、すべてが、目の前で、姿形を一瞬にして変えられていた。
瓦礫の山となる住宅、ビル、鉄塔。
屍となる人、人、人。
壊れた家に押しつぶされて死ぬ人、恐怖のあまりに狂い、自殺する人、同じく狂い、互いに殺し合う人。逃げる人・・・そして、それを追う、人ではない、「なにか」
その「なにか」は、人を喰らいつくす。逃げ惑う人を喰らい、屍になったものも喰らい、互いに殺し合っているものも同時に喰らう。
まさにその姿は獣そのものだった。ライオンのような胴体をもち、鳥のような翼を一対背に宿し、蛇のような先端をもつしっぽをぶら下げ、鰐のような顔をもつ・・・それらのもととなった生物よりもはるかに巨大な体躯をもつ「なにか」は、人を、街を、日常を喰らい尽くす。
目の前に見えるだけでも三十匹以上いるそれは、圧倒的なまでの力で、人々を蹂躙して、欲望を満たしていく。
悲鳴が上がる。絶望の声が、聞こえる。それの咆哮が、唸り声が、それらを打ち破り、鼓膜を震わせる。
混沌、という言葉は、今まさに使われるべき言葉なのだろうか、それとも、終末という表現が、今正しいのだろうか・・・そんなことを考えるのは、もうやめた。
目の前で人が死に、化物が欲望を満たす。・・・そんな光景、いやなほど見てきた。いやなほど、脳裏に焼き付かされてきた。
だからこそ・・・「俺」は果たそう。世界の意思をぶち壊し、自分の意思を貫くために。
右の手には自分の背丈と同じぐらいの長さをもつ、黒い剣。それは、太陽の光を不気味に反射する。
まだ倒壊されていないビルの屋上から、化物の集団を睨みつける。今すぐに飛び出したい気持ちもあった。人が殺されるのをもう見たくなかった。だけど・・・自分のことを、
今この場にいる、「喰らう者」をより安全なタイミングで出動させなければ・・・より一層の被害が辺り一帯を襲うことが、わかっているから、なにもできなかった。
耳に当てられた端末から、指示を待つ。・・・いまかいまかと・・・化物を・・・あいつらを殺せるのは・・・まだか、と。
そして———

「・・・さあ、存分に暴れろ。『夢幻を喰らう者』よ」

その声が・・・始まりの合図だった。








それは、世界各国の、人里離れた辺境の地に生まれた、菌が始まりだった。
発生原因は不明。だがしかし、それが必ず人が住んでおらず、野生の動物しかいないところで発現したということだけはわかっていた。
それは、その地の生命を蝕み、水を枯らし、動物に感染した。
動物は感染されると、狂犬病に似た症状を起し、周りにいるものを傷つけた。
その菌は、ただの動物には感染力が非常に高く、次々に、襲われた動物、死体に感染していったという。
そう、そこまでならまだ対策のほどこしようは、あったのだろう。
だが、その菌は留まることをしらなかった。
菌の特性は、感染した動物を狂わせることだけでなく・・・そう、次の過程に、強制的に進化させる、という異常なものだった。
当然、それは活動を停止したあとに感染した動物にも起こり得るものだった。生きている動物は、本能的に、自身が恐るほかの動物の姿を形取るようになり、そして、死んだ動物は、まるでゾンビのように、もとの姿を形取り始める。
人間がその異常を感知したのは、ついにそれが、一般家庭や動物園などといった、人間が住まう地域に現れるようになってきてからだった。
どういったわけか、人間はその菌の免疫を必ず、ほぼ100%にもっているために、感染のおそれはなかった。だがしかし、飼っていた犬や猫などは、そういうわけにはいかなく、最初は近所の犬同士で殺し合い、猫同士で殺し合い、動物園などでは、折などを突き破り、すべての動物が血で血を争った。
人間も当然の如く、その被害を受け始めた。
飼い犬が突然飼い主の指を引きちぎったり、腕をもいだり、猫が爪で目を潰したり、その事例は多数存在したが、共通して言えることは、必ず襲われた人間は死んでいたということだけだった。
後に軍隊が出動して、動物を殺すために動いた。けれども、その菌は死をも無意味にさせる。
死んだ動物は憎しみという心をもち、力をまし、軍隊は壊滅させられた。
世界各国は、すべての感染した動物を一つの国に集めて、核を投下して、国・・・大陸ごと、消してしまおうという本当の最終手段を、使わざるを得なくなってしまった。
各国の人々は、3分の1程度まで減らされてしまったが、生き残った人々は、その国ごとの首都に設置されていたシェルターの中になんとか避難させたが、そこからはどうしようもなかった。だから、もうそうするしかないと、代表たちは語り合った。
思い出をすべて喰らい尽くした、その菌を消すには、もうそれしかないと。
そんななかで、まだ強度の調整が終わっていなかったブラジルのシェルターが、その時には「キメラ」と名付けられていた、感染した動物によって壊された。
ブラジルからの救援要請が全世界へとむけられて放たれたが・・・ほかの国は、これがチャンスだといわんばかりに・・・ブラジルを犠牲にして、その一帯にいる「キメラ」を全滅させるべく、核の準備を始めたという。
すべての国がこれに許可をして、ブラジルの救援要請を無視し・・・もしかしたら、助かっていたかもしれない人々を見殺しにして————その作戦は、実行された。
無慈悲に放たれた核爆弾は、ブラジルの首都にむけてまっすぐととばされ・・・着弾した。
全世界を揺るがすほどの大きな地震とともに———ブラジルの大地は、消え去った。
「全て」の国の人々は、喜んだという。絶命するどころか、死してなおも蘇り、数を増やし続ける「キメラ」の数を、少しでも減らせたという、殺せたという状況に、喜び、酔いしれた。
—————だが・・・そんな簡単に物事は進むはずがなかった。
菌は核の影響をうけなかった・・・。そう。宿り、繁殖していた媒体がなくなってしまった菌は、大気中をさまよい———魚に、感染し始めた。
今まで海のなかには一切影響を与えてこなかった菌は、核の爆風によって海のなかに沈められ、その中の生物に乗り移り・・・再び暴れだした。
そしてそれを何ヶ月後に知った人間たちは絶望し、再び「キメラ」の存在に怯えることとなった。
シェルターが壊されれば、核を打ち込まれ、シェルターが壊れなければ、そのシェルターの不具合に生じて侵入してくるキメラに襲われるという恐怖に怯える・・・。誰かがいった
これは・・・「終末を迎えた」・・・と。






核がきかず、絶対に死に絶えることのないその菌・・・まるで夢、幻のような今の現状を用いて、「夢幻菌」「ファンタジーウイルス」と名付けられた。
当然、人間たちは必死になった動物の死体からなにからか、菌に感染していながらも、まだ発現していない存在すべてから、その菌を摂取することに成功した。
この菌に対して、なにか打開策はないのか、人間は、いろいろな薬やなにやらをすべて使い、さらに、別のウイルスとあわせ、相殺しないか、また、融合したりして、別の効果を得られないだろうかと、試行錯誤をくりひろげた。
そして完成する・・・その菌を「断ち切る」「喰らう」ことのできる、「ウイルス」を。
それは・・・人間の血と、その菌と・・・感染していた、動物の細胞を混ぜ合わせ完成した、対「夢幻」用ウイルス・・・「夢幻喰」。
だがそれだけでは、大気中に漂っている菌は消せなければ、すでに感染して、進化を遂げてしまっている「キメラ」には、手の施しようはなかった。だが・・・
「夢幻喰」は、人の血と動物の細胞、それらが「夢幻」に加わり、より力の強い「菌」になり、それは人体にも影響を及ぼしてしまうほどのものだった。
とはいうものの、それは人間に感染はせずに、大気中でも生きることもできず、さらに・・・それを体内に取り込んだ人間が、力の調整を、制御をできるところから、早速研究者の一人がそれを注射という形で摂取した。
「夢幻喰」を摂取したことによる人体への影響は二つ。一つは五感強化。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚をより鋭くすることによって、「キメラ」がどこにいるのかというのをすぐに探知できるようになる。そしてもう一つが、身体能力大幅な上昇だ。とはいうものの、外見には一切影響は与えず、このあたりは「夢幻」と異なるだろうが、極端にいってしまえば、間違いなくこれは「進化」の領域に値するものだった。
そうして、「夢幻喰」を体内に宿し、研究は次の段階にはいる。人体に摂取する、というところまではまだよかったのだが、その人間だけでは、「夢幻」を打ち消すことはできないからだ。まあそれもそうだろう、なにせ「夢幻喰」が「夢幻」に触れて、始めて打ち消すことができるのだろう、それでは意味がなかったのだ。
そこで、その「夢幻喰」を体内に宿した人間だけが振るうことのできる武器「ヴァジュラ」の開発が始まった。
「夢幻喰」が人体以外で拒絶反応を起こし、霧散してしまわずに、文字通り「宿る」金属を検討し、その特別な金属を加工する過程で「夢幻喰」を中に練り混ぜて、錬成したそれこそが・・・対「夢幻」対策でもっとも重要なものとなる。
「キメラ」に対抗するために、身体能力を大幅に上昇させて、相対することのできる人間が、「夢幻」を断ち切ることのできる「ヴァジュラ」を扱うことによって・・・始めて、「夢幻」を打ち消し、断ち切り・・・喰らう存在が、生まれた。



人はそれをこう呼んだ。



「夢幻を喰らう者」と。