ダーク・ファンタジー小説
- Re: 【夢幻を喰らう者】※1-14更新 ( No.15 )
- 日時: 2013/02/25 00:43
- 名前: だいこん大魔法 (ID: g5yX4cMd)
やっと理解した神樹が神妙に頷いている。
「まあ、そういうやつらも少なくはないはずだ。まあ、これから見る映像っていうので、実感をわかせようっていう魂胆もあるだろうね」
「うーん・・・織塚くん、なんか・・・頭、いいんだねー」
そういいながらニコニコ笑う神樹。
こいつもこいつで緊張感ないじゃないかとか思ったりもするが、この類はリラックスしているといった類のものだとわかり、なにも言わないことにした。
「ま、誰かに物を教える機会がたくさんあったから、頭の回転はちょっとだけ早いかもしれないけど・・・別に頭がいいってわけじゃないさ」
「でもでも、私てきには織塚くんは頭いい人っぽいよ?」
「くすぐってぇ」
そういいながら俺は頭をかく。
そんなくだらない会話をしていると、ついにたどりついたのか、長い廊下のはてに、扉が見えた。
そこにおっさんが立ち止まると、新人たちも立ち止まる。神樹はまた真剣な面持ちになり、おっさんの話を聞く体制になる。そんな神樹を見て、俺も少しだけ真面目に聞くことにする。
「ここが、訓練上だ・・・主な使用用途は、さっきの説明通り、個人の力量の確認などが主だが、研究、つまり、今現在確認されている「キメラ」にどのように対抗すればいいのか、弱点はないのかとうを確認するために、モニタールームも用意されている。ますばそのモニタールームで今現在確認されている「キメラ」を映像を見せながら軽く説明させてもらう」
そう言い終わると、おっさんは扉を開く。横スライド式の扉を開くと、空洞・・・というのか、いや、ちがう、過去の資料に残されている、体育館といわれている施設とほぼ同じような広さの空間が、そこにあった。
奥の方には・・・おそらく、本物の「キメラ」を管理している、檻で塞がれた通路がある。その横には訓練待機室があり、その待機室は中から訓練の様子を見れるように、おそらく強化ガラスで作られているのだろう。その待機室の中は、さきほどの「ヴァジュラ」の整備室で見たような穴があいており、おそらくおっさんがいっていた、訓練はその類ではないという言葉の意味のとおり、そこと整備室は直接つながっていると見える。
訓練場の端にはドアがあり、そこの上のプレートになにかかかれているが、そこまで見ることはできなかったが・・・おそらくあそこが
「この訓練場の説明はあとでさせてもらおう。では、むこうにドアが見えるな?あそこはモニタールームにつながっている。広さは教室とほぼ同程度だ。席は好きに座っていいぞ」
そういうと、またおっさんは歩きだす。今度はついていく形ではなく、各々が好きに移動し始める。
訓練場を見渡すもの、喋りながら今後のことを話すものなどなど・・・さまざまだ。
「ひろいねー・・・」
歩きながらキョロキョロとしている神樹が、そんなことをつぶやく。
たしかに広いと思う、思うけれど、俺は何度かもうここに来たことがあった。
特別事例・・・それにより、俺は検査のために、模擬戦闘、つまり、先輩のファンタズマと何度か手合わせをここで行っていた。
そこでのブラッドアーツ、ブラッディアーツの使用は禁止されていて、単純に俺が戦闘を行うことによって、なにかしらの変化はないかなどを検査していたりする。
まあその時の思い出と言ったら、簡単に俺の攻撃をいなされて、ボコボコにされたという思い出ばかりだからなんともいえないが・・・それのおかげで俺はこの施設がどういうものなのか知る機会を経たり、さらには、この「夢幻喰」により、どこまで体に無茶を効かせられるのか、その限界をだいたい把握することができた。
人により上限はさまざまだが、・・・「アマテラス」の「夢幻喰」の上限は、本人が意識していても達することはほぼ不可能のはずだと、ルリがいっていたような気がするが・・・その条件は、これから知ればいいか。
キョロキョロと辺りを見回す神樹を連れながら、ようやくモニター室に入る。そこは、おっさんがいったように教室とほぼ同じつくりだったが、前がわはすべてモニターになっており、教卓が置いてあった場所には、映像を再生させるための機材が置かれている。
「後ろでいいか?」
そういいつつ、俺は教室とほぼ同じような位置に座り、その隣の席の椅子をひっぱり、神樹を手招きする。それに神樹がぽけっとしたあとに、少しだけ頬を染めて
「う、うん、ありがとう」
そういい、すわる。それに俺はどうも、と返して、
「それにしても・・・すっかりはぶかれたな」
「そ、それはいわない約束だよっ」
今の現状をボソリと口にすると、神樹が過剰に反応する。それを見て俺は少しだけ笑う。
「な、なんで笑うの?」
「いやさ、そこまで過剰に反応しなくてもいいんじゃないかってね・・・でも、ま、いいか、べつに」
「うんっ、いいんだよ、べつに」