ダーク・ファンタジー小説

Re: 【夢幻を喰らう者】※1-17更新 ( No.18 )
日時: 2013/03/27 14:58
名前: だいこん大魔法 (ID: g5yX4cMd)

「では、まずはじめに、「キメラ」の具体的な種類から映像を流させてもらう。その映像にあわせて、その「キメラ」の危険度などを説明させてもらう」

そういいながら、おっさんが機械を軽くいじる。すると、教室の電気がおちて、モニターに映像が映し出される。
一瞬暗くなったことに、周りが一瞬騒ぐが、映像が映し出されると、そのざわめきもおさまった。

「まずは、君たちがこれから戦う、「犬型」のキメラだ」

おっさんがそういうと、ちょうどいいタイミングで、何度も見てきた、その「犬型」の「キメラ」が映し出される。
外見は犬そのもの・・・いや、犬そのものといっても種類がそれなりにあるので・・・そうだな、ドーベルマンの形が、「犬型」の主といえる。
とはいうものの、サイズは人間よりも大きいか小さいかぐらいで、ライオンと同じようなサイズ、といえば簡単に伝わるかもしれない。

「「犬型」のキメラは、比較的危険度が低い種類だ、だがしかし、群れで行動している場合は注意しなければならない」

モニターには、「犬型」と、「夢幻を喰らう者」の戦闘画面が映し出されていて、その力量を見ることができる。

「「犬型」は、映像のように、足が速く、牙と爪がとても鋭い。一撃でももらえば「夢幻を喰らう者」でもそれなりのダメージはうけることになる。だがしかし、潜在能力的には圧倒的に「夢幻を喰らう者」のほうが上だから、喰らわれることはまずないだろうな」

だが、油断したら死ぬぞ、とおっさんはつけたして、次の映像が流れ始める。それは

「次が「鳥型」だ。言い忘れたが、「キメラ」にはそれぞれの固有名が存在し、「犬型」がライコウ、「鳥型」がイグルだ。鳥型は基本的に闘争本能があまりないため、人の住んでいる場所には寄り付かない。だが、一度戦いを始めたら、空からの攻撃が主になる。そのため、危険度は中だ」

「鳥型」形は鷲の巨大版とでもいっておこう。今説明されて初めて見た種類だけど、たしかに映像の「夢幻を喰らう者」が苦戦を強いられているということはわかる。さらに見た感じ、集団行動を主としているためか、おっさんのいうとおり、「犬型」よりは間違いなく危なそうなやつだった。

「これまでが、姿をあまり変えずに、サイズだけがでかくなった下位種の「キメラ」だ」

下位種のキメラ・・・つまり、おっさんのいうとおりに、サイズだけが巨大化、または進化したは、種類こそ二つにしか分かれていないが、その姿かたちはかなり違うものがある。
たとえば、最初の犬型なんかでいうと、ドーベルマンが主、というだけであり、また別の種類の犬が巨大になっているようなやつや、合わさったような形をしたやつもいる。つまるところ、下位種というのは、そのもとの動物の「種類」の巨大化という、とても曖昧なものなのだ。
けど、基礎の部分が似通っているために、それは同じ「犬型」、「鳥型」というふうに、わけられているらしい。

「つぎが、中位種だ」

そうおっさんがいうとどうじに、画面が切り替わりる。
次にでてきた映像は、一言では表しづらいかたちをしたなにかが映し出されていた。

「・・・下位種と違い、中位種には、それぞれ識別名があてられているのはもう知っているかもしれないが、いま映し出されているのはなんのキメラかわかるか?」

といい、目の前にいた眼鏡二人の片方を指差す。
眼鏡の片方はわかりません、といい、おっさんがそうか、と頷いて、説明に戻る。

「夢幻により強制進化したキメラたちは、一時期・・・そうだな、我々がファンタズマを作り上げるまでの間に、その強制進化後の形を成していた。夢幻が動物に感染した当時は、強制進化の形は様々で、識別名などつけようがないほどに様々な進化後の姿をとっていたらしいが、さきほどいった、我々が防戦に回っていた頃、キメラたちは、進化後の形を安定させ、我々が識別できる程度にまで限定された」

つまり、だ、キメラは最初、各々に強制進化していたのが、度重なる共食いなどの影響で、その場所その場所で食物連鎖の王となり得たキメラの姿を真似し始めた、ということだろう。
下位種なんかは、それ以上進化できないために、そのままの形で巨大化しているものも多いが、中位種、上位種なんかは、そのたぐいではない、ということだ。

「中位種は今まで観測されている中で8種類に限定されている。未だ観測されていないものがもしかしたらいるかもしれないが、今は外させてもらう」

そういい、説明を再回する

「今流れているキメラは、先ほどでてきた犬と、そして鳥が混じりあった姿を持っており、名を「フェンリル」と名づけている」

たしかに、言われてみるとそんな様子が伺えた。
犬のような形をもち、背に鳥のような翼を一対もつそのキメラは、下位種と比べ、若干神聖な生き物のような雰囲気を醸し出している。
大きさはやはり巨大化しているが、犬型のそれとたいして変わらないが・・・

「大きさが犬型と大して変わらない、と思ったかもしれないが、そこはさして大きな問題ではない・・・この「フェンリル」は、キメラの中でもっとも動きが俊敏で、さらに賢いのだ」