ダーク・ファンタジー小説

Re: 一夜限りの図書館【参照100超え】 ( No.27 )
日時: 2013/02/05 17:36
名前: 雄蘭【ゆうらん】 (ID: kpG4msIT)

【花檻‐溢れる‐】

冷たい空気が頬を傷付ける。
私は、其れを何事も無かった様に見ていた。

足元に敷き詰められている花達を眺めて。
改めて、愛を感じた。
愛とは言っても、到底理解が出来ないが。

沢山の花の中から、一つを選ぶ事。

私は、其の花を思い切り握った。
手の中で軽い音がして、花は脆く消え去った。

手を開くと、花は何処かへ飛んで行った。

嗚呼、私も花だったら…
自由に咲き誇れるのに。

麗しく、人に愛されたのに…

此れが現実だと思うと、心臓が張り裂けそうに成る。
愛していたのは、紛れも無く……

優しい瞳をした貴方だった。

もう、貴方は暗い瞳に成ってしまった。
何も届かない…———

そして、私は今日も、しょっぱい液を飲む。

降り注ぐのは真っ赤な蜜。