ダーク・ファンタジー小説

Re: 真夜中の始業チャイム ( No.3 )
日時: 2013/07/10 21:39
名前: 鈴蘭+ (ID: jmwU8QL1)

<1限目>

『今から、〝あるゲーム〟を始めます。至急、体育館へお集まり下さい』

やっと帰れるーっと、居残りから開放されたあとランドセルを背負って帰ろうと思ったら、このアナウンスが聞こえたせいで帰るにも帰れなくなった。

(早く帰らねぇと……)

そう思う気持ちと、

(体育館で何をするんだ?)

という気持ちが混ざり合って、微妙な感情になった。

アナウンスから聞こえた声は、合成音で誰かわからない。
が、学校で合成音はおかしいだろう。
そう思いつつも、俺は体育館へ向かった。

「はぁっはぁ……っはぁ」

息を切らして体育館のちょっと重いドアを開ける。
すると中には俺の他に学校に残っていた生徒や先生たちがいた。

——その中心に、モニターがあった。

俺はランドセルをドアの端に寄せて、みんなのもとへ駆け寄った。
すると、刹那……モニターからは"あの"合成音声が聞こえてきた。
モニターには、黒い背中まである髪をまとった少女が写っていた。
その少女の顔は見えないが、黒いセーラー服を来ていて、肌が白い。
ソファーに座っているのかしらないが、椅子の端にある棒みたいなところに頬杖をついている。

俺が彼女に見入っていると、彼女が口を開いた。

『みなさんには、鬼ごっこをしてもらいます。ルールは簡単。鬼に捕まらないように逃げればいいだけです』

彼女の口調は明るかった。だがしかし、次の言葉はとても低く恐ろしい声だった。

『ただ、鬼に捕まれば……即退場ということになります』

彼女は一旦言葉を切り、また口を開いた。

『校庭には出られませんので、校内で逃げてください。この鬼ごっこは、最後の一人になるまで続きますのでご了承下さい——プツッ』

これで、モニターの画面は閉じ、何の声も聞こえなかった。
ただ変わったのは、ここに居る人の反応だ。

下級生は泣き、上級生の俺たちはただたんに唖然としている。そして呆然と突っ立っている教師たちは、下級生をなだめたり、思考を回したりしている。

——意味が、わからなかったんだ。

最後の一人まで続ける? 鬼ごっこは鬼が代わっていくはずだ。
即退場? どこに行くんだ?
校庭には出られない——? 家に、帰れないだと……?

「「ふざけるなっっ」」

俺と翔裏の声が重なった。他の奴らは呆然とこっちを凝視している。
吃驚させてしまった。

























——俺たちは、モニターがなくなったこの体育館で、話し合うことにした。