ダーク・ファンタジー小説

Re: 「愛されたい」 ( No.3 )
日時: 2013/03/14 18:20
名前: 哀歌 ◆wcVYJeVNy. (ID: IfRkr8gZ)

2話 「……嘘……」

翌日の放課後。
私は、柔道部に来ていた。
「……つーかぁーさぁー」
私は、クラスメイト・田宮ツカサを呼ぶ。
「……なんだ。冷夏か。何の用?」
「見学したいんだけど。……ここ、本当に柔道部?」
私は、チラリと畳を見る。
そこには、野球の真似事をしている先輩達が居た。
……ここ、野球部ですか?
「一応……待ってろ。部長呼んで来る」
「うん。待ってる」
私は、ツカサを目で追う。
一番体が大きい男性と、話すツカサ。
ツカサの方が、背が大きい。2cmくらい差がある。
「冷夏。来い」
「あ、うん」
私は、小さく頷き、ツカサの元へ走って行った。
「冷夏。自己紹介」
「えっと……安藤冷夏です。…………よ……よろしくお願いします……」
部長さんに睨まれる。怖い。
私は、ツカサの後ろに隠れる。
「あははは! 面白いね、安藤ちゃん! あのアマ……じゃなかった。千夏と違って可愛いね」
「……姉さんのこと……ご存知なんですか!?」
ぴょこんとツカサの後ろから出る。
「うん。同じクラスだったんだ。モテてたよね」
「……可哀想ですね、騙された男性」
「ちょっと待って。今……軽く「姉さんって性格悪い」発言したよね」
「何か問題でも?」
私は、にっこりと微笑んだ。
「……田宮くん。この子、意外と黒いね」
「そうなんですよ。性格メチャクチャ悪いんです」
「テメェに言われたか無いわ。田宮ツカサ」
私は、ツカサを軽く睨む。
「……よし、合格!」
「良かったな、冷夏! 今日からお前は、柔道部員だ!」
「……嘘……」
ツカサが、私の頭を撫でた。
「ちょっ……! 髪が乱れる!」
「……安藤さん?」
「……あ、部活動紹介の……!」
私の目の前に現れたのは、あの里山巧先輩だった。
私は、慌てて髪の毛を整えた。
胸の鼓動が、確実に早くなる。
「俺、里山巧。よろしくね、安藤さん!」
先輩は、お日様のような笑顔を見せてくれた。
あの時の凛々しい顔とは違う。暖かい笑顔だった。
……間違いない。

私は、里山巧先輩が好きなんだ。