ダーク・ファンタジー小説

Re: 「愛されたい」 ( No.4 )
日時: 2013/03/14 18:22
名前: 哀歌 ◆wcVYJeVNy. (ID: IfRkr8gZ)

3話 「可哀想」

翌日。

学校の校舎に入り、靴箱へ向かう。
靴を履こうと上靴を持つと、手に何かが刺さった。
「またか。ワンパターンね」
クスクスと笑っているクラスメイト達を見る。
手から血が流れてきた。不思議と、痛みは感じない。

「安藤さん! どうしたの? うわ、血ぃ出てるじゃん! 大丈夫!?」
急に出てきた里山先輩が、私の手首を掴む。
「大丈夫です、里山先輩。最近、「古くて」「幼稚な」嫌がらせが多いんですよねぇ〜。人を傷つけることしか出来ないんですね。可哀想」

「本当だ。最低な奴らだな」

私の嫌味に、乗ってくれるとは。流石先輩!

「ーーとにかく、保健室行こう。黴菌が入る」
「はぁーい」
里山先輩は、私の手首を掴んだまま歩き始めた。手首が痛い。
でも、嫌な痛みじゃなかった。
すごく、幸せだった。

「……先輩、手首……」
さすがに、もう放してほしい。痛い。
「アザできてる……! ごめんね」
「いえ、大丈夫です」
私は、首を振った。
「……あのさ、いじめられてるの?」
先輩が、私の顔を覗き込む。
……きっと今、私の顔は真っ赤だろう。