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第１話　「幸せ」


何故春はこんなに眠いのだろう。
まぶたが開かない。
今日は黒羽高校の入学式だというのに。

ん？　入学式？
　
「やっべー！！！！！」

俺は慌てて支度をしようと階段を駆け下りた。

「アンタ、何いきなり飛び起きて！　今日は入学式でしょ？　こんなに遅くて、バッカねー。」

と笑う姉を蹴り、俺は家を出た。

「行ってきます！」

そう、さっきも説明した通り今日は俺等がこれから通う黒羽学園の入学式だった。友達と待ち合わせしていたのを忘れていた。

足早に待ち合わせ場所に向かう。
着いた時には皆俺を睨んで立っていた。

「悠、遅い。」

「もっちー、ちゃんとしろよ！」

凛と冬夜が凄い形相で怒っていた。

「いや、ごめんごめ（ry）ぶふっ！！」

頬に猛スピードで硬い何かがぶつかってきた。
徹平のパンチだ。

「眠気覚ましと俺からの罰だ！　ハッハッハ！」

みんなは笑っていた。
俺は思ったんだ。

幸せだな。って。
いつもと何も変わらないけど、こういう風にしてるだけで幸せなんだって思った。

「皆さん、早くしないと！」

という桃の声で、皆は笑いながら走り出した。
周りにはバカだと思われてたかもしれないが構わない。
いつまでもこんな風な幸せが続けばいいのに。

だけど、神は俺の願いを無視した。


第１話　END