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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 陽炎 ( No.1 )
- 日時: 2013/06/27 00:22
- 名前: 王様 ◆qEUaErayeY (ID: .2ijTo35)
学校の昼休み。
僕、涼野 憐舞(スズノ レンブ)は、学校カバンを教室の後ろのロッカーから取り出し、ゆっくりと教室を出た。
すると、クラスの皆が教室から出てきて、僕に声を掛けてくれた。聞こえてくる言葉は「また会おうな」とか、「お前のこと忘れないから」とか、よく聞くような無難なものばかりだけど、僕はとっても嬉しかった。
『....今までありがとう。バイバイ。』
僕はこう言って、素早くその場から去った。親に早く帰ってこいと言われたのもあるが、一番は、皆に泣き顔を見せたくなかったからだ。
階段を降りて、靴箱に着いたとき、僕は後ろを振り返った。すると、そこには誰も見えなかった。
帰り道、僕は涙を拭いてとある家に向かった。最後には彼女に挨拶がしたい。そう思って優香の家に向かった。
「あれ、こんな時間にどうしたの?憐君。学校あるんじゃないの?」
ドアを開けてすぐに喋ってきた、この娘が小西 優香(コニシ ユウカ)だ。
優香とは幼なじみで、幼い頃から病気を患っている彼女は学校には行けないので、毎日僕が家に行き、遊んでいた。
そんな毎日遊ぶ仲だからこそ、彼女には引っ越しの事を言えずにいた。そんな事も知りもしないで、彼女は立て続けに喋る。「どうしたの?なんで黙ってるの?」いよいよ僕は観念して、彼女に言った。
『俺は、もう優香に会えないんだ....。』
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