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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 陽炎 ( No.15 )
- 日時: 2013/06/30 13:50
- 名前: 王様 ◆qEUaErayeY (ID: Jr1Q7MLw)
車から降りると、クーラーから離れた事で暑い上に、色んな虫の鳴き声がうるさかった。
暗くて車の中が見えにくいが、父さんは、助手席で寝ている母さんを起こしているようだった。
少しして、車のドアが開き、二人が降りてきた。「暑いわねー。」母さんが言った。
「ほら、あれが家だ。」父さんが指を指しながら言った。母さんと僕はその方向を向く。『すげぇ、結構大きな家じゃん。』思わず、声がこぼれる程の大きな家だった。それに、庭もあるようだった。
よく見てみると、庭に引越トラックが停まっていた。家の中では家具を入れているのだろう。
「よし、入ってみるか。」僕らは、父さんのその声につられるように家に近づいていった。
「あ、お疲れ様です。」父さんはトラックから家具を出している人に声をかけた。「あ、来られたんですね。」その人は言った。
その二人の会話の後ろで、母さんは「みんなにお茶でも買ってきなさい。」と言って、お金をくれた。
ずっと車に乗っていただけではあるが、それなりに疲れたので、僕は喉が渇いていた。なので、買ってくることにした。まぁ、我ながら自己中心的な考え方かもしれない。
家を出た頃、僕は重大な事に気づいた。自販機ってどこにあるんだろうか。
一瞬、親に訊こうか迷ったが、ここまで来てそれは面倒くさいので、自分で探すことにした。
『....田舎って、こんなに暗いのか。』
見えるのは路灯の光だけで、それに路灯と路灯との間隔が長い。
色んな意味で、本当にこんな所で暮らしていけるのかな、と思った。
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