ダーク・ファンタジー小説

Re: 陽炎 ( No.30 )
日時: 2013/07/17 14:15
名前: 王様 ◆qEUaErayeY (ID: CE4YyNoS)

 ....つか、引っ越してきていきなり人を泊めるのか。

 「泊まる?いいよ、手伝ってくれたしね。じゃあ、風呂入ってきてね。」母さんが笑顔で言った。
 「やった!ありがとうございます!!」和也と義我がコーラスした。
 っていうか、そんなに泊まりたいなんて、二人とも親と仲でも悪いのだろうか。

 『泊まるっていっても、美華は帰るよね?』
 「え、美華ちゃんも泊まるでしょ。大丈夫だって、俺達手出さないから。」和也が言った。
 んまぁ、そういう問題でもないんだけどね。

 「じゃあ、また明日。」
 黒い長髪を風になびかせ、彼女は笑って玄関から外に出て行った。

 「美華ちゃん、帰っちゃうのー?行かないでよー!」
 そう言う和也の横を、僕はすっと抜けていった。「どこ行くんや?」義我が聞いてきた。『こんな時間なのに、女の子を一人で帰らせれないよ。』僕は美華の後を追った。


 「優しいのね、憐君。」
 追っていくと、やっと美華に追いついた。
 『いや、僕は当たり前の事をしただけだよ。それに、もう誰も....。』

 ....僕達が今歩いている路灯もない暗闇の中に、過去の光、優香の笑った顔が見えた。