ダーク・ファンタジー小説

Re: 陽炎 ( No.33 )
日時: 2013/08/13 06:57
名前: 王様 ◆qEUaErayeY (ID: VmcrDO2v)

 美華と別れてから、僕は家までダッシュで帰った。
 前の土地とは違い、辺り一面が真っ暗な田舎の雰囲気は、とても怖かった。

 「あら、お帰り。ご飯は少し待っててね。」
 リビングで、野菜を切っていた母さんが、持っていた包丁をとめて言った。『ただいま。』
 父さんはテレビを見ていて、画面を見たまま「お帰り。」と言った。テレビでは、野球がやっていた。『ただいま。』

 リビングを出ると廊下がある。そこは右から、父さんや母さんの部屋、風呂、トイレがあり、俺の部屋は二階にあった。
 『全く、いちいち二階に上がるのだるいなぁ....。』
 そう言いながら、階段を上がっていった。すると、誰かの笑い声が聞こえた。
 ____まぁ、誰の笑い声かなんてすぐに解るんだけどね!

 「お、憐舞、帰ってきたか。」
 和也は笑いながらそう言った。手には小学校の頃の卒業アルバムがあって、それを見て義我と大爆笑していたようだ。よく見てみると、彼が手に持っている卒業アルバムは、僕のそれだった。
 全く....、よく人の卒業アルバム見れるよな....。それにその時とか俺の黒歴史だってのに....。
 「この時のお前の顔不細工すぎだろwwwこの横の女子とは大違いだなwwwww」

 ____横の女子?
 ____誰だっけな、その人。

 『横の女子って誰だ?』僕はそう言い、彼の持っている卒業アルバムを覗き込む。
 自分はすぐに見つかったのだが、その横の女子を見たときに、手が震えた。
 「____憐舞?」


 卒業アルバムの僕の横には、優香がいた。