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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 陽炎 ( No.35 )
- 日時: 2013/07/21 13:43
- 名前: 王様 ◆qEUaErayeY (ID: CE4YyNoS)
『____僕、トイレ行ってくるよ。ちょっと待ってて。』
「うん、わかった。」
僕は足早にリビングを出た。母さんの顔を見ると、いたって普通の顔をしていた。
リビングのドアを閉め、僕は左に歩いた。
トイレのドアはすぐそこにあるというのに、僕はさらに進んだ。そして、階段を上がっていった。
やっと僕は自分の部屋に着けた。机を見ると、やはりそこにはさっきの卒業アルバムが置いてあった。僕はすぐにそれを手にとって、中身を確かめる。すると、ごく簡単に昔の光景が蘇ってきた。
写真に、優香と僕が一緒に映っていた。
前に言った通り、彼女は生まれつき体が弱くて学校の授業を受けられなかった。だが写真を撮るときだけは学校に来ていたのだった。
何故だか、このちっぽけな写真から、あの時の彼女や僕の笑い声が聞こえてくる。
そして、まるでシャボン玉のような思い出が、蘇っては消え蘇っては消えていった。
____この、脳が何かに埋め尽くされる感じを、僕はずっと味わっていた。
僕は、持っていた物を机に置き、部屋を出て、すぐに階段を降りた。
「おぉ、戻ってきたか。」
そう言う父さんや僕の方を見る皆をみて、一瞬にして世界が変わってしまったような気がした。
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