ダーク・ファンタジー小説

Re: 陽炎 ( No.41 )
日時: 2013/07/25 14:46
名前: 王様 ◆qEUaErayeY (ID: zHNOEbBz)

 『ふぅ。』

 朝、起きてすぐに伸びをする。
 見ると、隣にいる義我や和也はまだ寝ていた。

 昨日寝る前に見ていた月や星は、あっという間に隠れてしまい、かわりに太陽が出てきた。
 とは言っても、今日は土曜日なので、この二人のようにまだ寝ている人達が大勢いるんだろうが。

 部屋に時計がないので、部屋を出て下に降りる。
 階段を降りている時に気づいた。そういえば、僕はこの家に引っ越してきたんだった、と。

 リビングのドアを開けると、テレビの音が飛び込んできた。
 「あ、おはよう。」二人ともテーブルの前の椅子に腰掛けてテレビを見ていた。
 『おはよう。』そう言いながら時計を見ると、まだ8時だった。こんなに早かったのか、と思った。

 『後でちょっと散歩でもしてくるよ。』
 僕はリビングから去る捨て台詞にそう吐いて、洗面所に向かった。
 もちろん散歩は嘘ではないが、本心はそれと違った。朝早く行く必要はないと思うのだが、どうしても会ってみたい。
 美華というただ一人の人間に。

 洗面所から出て、僕はまたリビングのドアを開けた。と同時に、母さんの方が、
 「散歩ってどこ行くの?危ないからあまり遠くに行かないでよ。」
 と言った。なんだ、そんなことか、と思った。
 『わかってるよ。』
 僕はそれだけを言い、玄関のドアを開けた。