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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 陽炎 ( No.47 )
- 日時: 2013/08/01 18:42
- 名前: 王様 ◆qEUaErayeY (ID: sSv6cHIH)
____一瞬、風になったのかと思った。
僕と美華を乗せた自転車は、風を切るように颯爽と田舎道を抜けていった。
「あ、そこ、右に曲がって。」
僕は言われた通り右に曲がる。すると、明らかに今までの道とは違った景色が露呈された。
思わず、こいでいた自転車を止めた。『え?あれを登るの?』
目の前には、坂があった。それもそこそこの勾配の。これを二人乗りで行くのは僕はもちろん競輪選手だってできないだろう。
「わかってるよ。」彼女は自転車を降りて言った。「さぁ、登ろう。」
僕は促されるままに前に進んだ。
ここの見た目はよく人が通りそうな雰囲気だが、それとは裏腹に全く車が通っていない。
登ってみると、この坂は結構キツい事がわかった。それも自転車を押しながらだから、余計にキツかった。
坂の中部辺りまで来たとき、この坂は崖に面している事が分かった。結構高いので、色んなものが見える。
『____海。』
「え?」
そう、ここには海があったのだ。
そういえば、昨日の夜美華と海があるって話してたっけ。
『ここには、海があるんだね....。』
「そういえば約束してたね。今日の夕方にでも行ってみよっか。」
『....そうだね。』
僕は笑って海から目をそらした。
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