ダーク・ファンタジー小説

Re: 陽炎 ( No.63 )
日時: 2013/08/13 06:48
名前: 王様 ◆qEUaErayeY (ID: VmcrDO2v)

 まぁ、確かに行ってから決めたいのは山々だが、便利屋とか言われた部活に誰が入るんだろうか、と思った。

 カラスがカァカァと鳴いている。もう少し歩けば、美華の家に着いてしまう。
 『もう帰るのか?』
 「うん。」
 『....そっか。』

 あれ、どうしてこんなに悲しい気持ちになるんだろう。
 美華とは明日になればまた会えるはずなのに、今日はもう別れてしまうと聞くと、不思議と切なくなる。

 ____今の僕は、もう、どんなものでも失いたくなかったんだ。

 「....憐君はさ、引っ越してきていきなり色んな事があって疲れてるんだよ。明日は休んだ方が良いよ。」
 『うん....。』
 美華も僕を心配して言ってくれてるのだから、明日はとりあえず家に居て、勉強でもしてようか。
 お互いがお互いのことを心配していると、何故だかとても安心できた。

 「じゃあ、また学校でね。」
 『がんばれよ。』
 そう言って、彼女の家の門の前で別れた。

 その時、とある家からピアノの音が聞こえてきた。それは暗かったり明るかったりと、随分不安定な曲だ。
 まるで今の僕達のようだった。