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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 陽炎 ( No.65 )
- 日時: 2013/08/12 10:58
- 名前: 王様 ◆qEUaErayeY (ID: VmcrDO2v)
その道は今までの道と同じで、人の気配が全く無く、ひっそりとしていた。
さらに進むと、今まで田んぼばかりだった道から、だんだん近くに建物が見えてくる道に変わった。
太陽がまぶしくてろくに遠くが見えなかったが、向こうに人が少しばかり見えてきた。
太陽が雲に隠れ、目の前がまぶしくなくなり、僕はやっと遠くを見ることができた。が、その建物は遠くではなく随分近くまで見えていた。そんなに歩いたか、と思った。
そして、コンビニなどの店はあの坂を越えなくても家のすぐ近くにあったのか、と胸を撫で下ろした。
とりあえず、涼みに目の前のスーパーマーケットに入った。
店内は割と広く、人はまばらだった。ただ、その人達が皆僕を凝視しているということが気味が悪かった。
なんでそんなに見られているんだろう。もしかして僕は町中の人達に監視されてるのか!?!?!? ....いや、そんな馬鹿なことあるわけがないよな。
「あら、引っ越してきた方ですか?」
突然、声をかけられた。彼女を見ると、とても頭が良さそうな風貌で、僕と同い年ぐらいだった。『どうして分かるんです?』
「まぁ、ここは田舎で人が少ないですし、あまり見かけない人がいればこの人は引っ越してきた方なのかな、ってことが分かるんですよ。」
彼女はそう笑って言う。上品ではあるが、気味が悪かった。『....はぁ。』
「ところで、ここにはどういったご用件で?」
ところどころ、礼儀正しい人だなと思った。『んっと、とりあえず涼みにですかね。』
僕はそう言って笑ってみせると、彼女もつられて笑った。
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