ダーク・ファンタジー小説
- Re: 陽炎 ( No.71 )
- 日時: 2013/08/24 16:57
- 名前: 王様 ◆qEUaErayeY (ID: 0JVwtz5e)
「ちょっと、起きてよ。」
近くで僕を呼ぶ声がして、僕はゆっくりと起き上がった。窓からは、綺麗な夕日が降り注いでいる。
目の前には、母さんと父さんがいた。そして、僕はこの時やっと、自分が今まで眠っていたことに気がついた。
『あぁ...、おはよう。』
「おはようじゃないわよ。こんな時間に寝てると、夜眠れなくなるでしょ。」
相変わらず、母さんははっきり言ってどうでもいいような事に対してよく怒る。
だがそれを言うとさらに怒られることは重々承知していたので、僕は「ごめんなさい」とぼそっと呟いて、ゆっくりこの場を去った。
階段を上がっている時も、何故だか現実味がわかなかった。夢なんて、もうとっくに覚めてしまっているのに。
自分の部屋にやってきて、僕は部屋の電気すら付けずに、ベッドに倒れ込むように寝転んだ。
不思議と、とても眠たかった。これ以上寝ると昼夜逆転してしまうのはわかっているが、それでも、睡魔には敵わなかった。僕は、何も言わずに何も考えずに眠っていた。
意識が、ゆっくりと落ちていくのが分かった。
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シャワーの音がする。
シャワーから出たお湯は、床に叩きつけられ、雨のような音を奏でていた。
完全に昼夜逆転してしまった。いつもなら、普通は9時ぐらいには入っているのに。
はぁ、と大きなため息をついた。
そして、今日は平日だ。今は深夜だが、朝には学校に行かなければならない。そう思うと、少し緊張してきた。
最近は、身のまわりの色んなものが変わってしまっている。土地もそうだし、知人も、そして家も。
そう思いながら、使い方がイマイチよく分からないシャワーを、くるくるといじっていると、いきなり強い勢いでお湯が放出され、僕の顔面にぶっかかった。