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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 陽炎 ( No.84 )
- 日時: 2014/01/14 00:15
- 名前: 王様 ◆qEUaErayeY (ID: DN0yrgWG)
「知り合い....か」
彼女は僕が教室から出たのを確認して、教室の扉のカギを掛けた。ガチャ、と音がして、教室の中の空気と、僕達がいるこの廊下の空気が分断された。
音楽室の場所が分からなかったので、僕は彼女について行くしか方法が無かった。
だけど、彼女は僕に歩く速度を合わせてきた。右に曲がるのかな、と思い右に曲がろうとすると、彼女は左に曲がった。慌てて僕も左に曲がった。
僕がゆっくり歩いて彼女の後ろにつこうとしても、美華はそれを拒んできた。
じれったくて、しょうがなかった。
僕達の波調は違っているのに、必死に均衡を保とうとする美華に、少し笑えた。
そんなものに必死になるぐらいなら、僕なんて突き放してくれればいいのに。全く、どんだけ優しいんだろうか。
美華、ありがとう。
そう言うと、彼女の顔に少し、綻びができた。
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