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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 陽炎 ( No.88 )
- 日時: 2014/03/06 01:32
- 名前: 王様 ◆qEUaErayeY (ID: Y9aigq0B)
音楽の時間。先生は慣れた手つきでプリントを配った。どうやら、卒業式で歌う曲が決定したようだ。
歌う曲は二曲あり、その両方とも、卒業式の定番という感じの曲だった。
「涼野くん、この曲知ってる?」
「知ってるよ。小学校の時の卒業式でも歌ったかな」
「っていうか、まだ夏なのに、もう卒業式の話題なんだね....」
その時の早紀の顔を見て、僕ははっとした。いつの間にか、頭で考えていたことがそのまま口に出てしまっていた。
歌の練習は、先生が弾くピアノの近くに皆集まり、クラス全員で行うというものだった。
並んで練習する訳ではないので、各々友達と固まっていてもいいらしい。自然と義我と美華、早紀が近くに寄ってきた。
和也は? と思った瞬間、早紀が先生に言った。
「先生、和也くんがいません」
「あれ...ほんとだ。和也くーん?」
「先生ー! 和也いたよ!」
別の生徒の声。一体どこに居たのかと思ったら、和也はピアノの下から出てきた。
僕はため息をついた。
馬鹿かこいつ....。
先生もため息をついていた。和也が相手だとこういうことが日常茶飯事なのかもしれない。
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