ダーク・ファンタジー小説

Re: 陽炎  ( No.94 )
日時: 2015/01/28 17:05
名前: をうさま ◆qEUaErayeY (ID: Yp4ltYEW)
参照: 「王様」から「をうさま」にイメチェンしました笑

 数学の授業も終わり、いよいよ休憩後は三時間目となる。
 給食のいいにおいがこちらまで漂ってきた。僕は教室から出て、廊下に出た。
 窓から見える景色は新鮮だった。自然と外へ出たいと感じて、その場から離れた。

 僕のいる教室3年2組には、義我、和也、美華、早紀と僕をふくむ五人全員がいる。
 僕の席は教室のちょうど真ん中辺りで、僕の隣の席の早紀を除くと、全員の席は綺麗にばらけていた。

 やっと外に出られるドアを見つけて、外に出てみた。ほどよく風が心地よい。

 ——ふと見ると、目の前に池があった。
 辺りを見渡してみると、校舎が僕を囲むように建っていた。……どうやらここは中庭のようだ。
 ちょっとだけ熱を帯びていた体が、ゆっくりと元の温度に戻っていく。
 転校生ということでとても人の注目を浴びて、別のクラスからも僕の姿を一目見ようと色んな人がやってくる。常にみんなに見られてる感じがして、体から熱が抜けなかった。
 僕は今までこんな経験をしたことがなくて、何をすればいいのか、どう接すればいいのかがわからず戸惑っていた。

 深呼吸しよう。

 そう聞こえた。
 振り向くと、驚くほど自然に、そして何の意外性もなく、早紀が立っていた。

 耳元で聞こえたその言葉が、まだ脳で反響していた。

「どうして?」
 自分でも、何について訊いているのかイマイチ意味わからない質問だったが、彼女はすぐに答えた。
「ストーカーしてきました!」
 ひまわりが咲くように彼女は言った。普通ならドン引きするレベルの言葉を、彼女は驚くほど清々しく口にした。