ダーク・ファンタジー小説

Re: ガラスの靴(シンデレラ)【白雪姫の林檎短編集】 ( No.37 )
日時: 2013/08/02 21:27
名前: みみぃ ◆xFy/V8wehE (ID: 8jXgF63k)

今回で終わらせたい……
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シュタイン家の長女エルフ・シュタイン。
シュタイン家のメイドのempty。

どうしても繋がらない。会場の誰もがそう思った。

『それでは、アル様より、御言葉をいただきます!!』

『えー、この度は、こんな私のためにお集まりいただき、誠にありがとうござい
ます。今年でもう18歳です。誕生日を迎えられたのは、皆さまのおかげです。あ
りがとう』

やはり歓声があがる。アルが微笑んだからだ。
夫がいるはずの婦人たちも、騒ぎ始めた。(おい)

『続いては、エルフ様です』

『皆さまはじめまして。私はメイドのemptyともうします』

ざわざわ……

「やっぱりメイド!?」
「しかもempty……」
「さっきのはうそ!?」

『と同時に、シュタイン家の長女のエルフでもあります』

再び会場がざわざわ……

『私はemptyのため、シュタイン家の長女でありながら、メイドをやっております


やっと繋がった。皆そう思った。……とエルフは思った。

『そして今日は、アル様の誕生日でもあり、


私の誕生日でもあるのてす』


ざわ……

いろんな意味で騒がしい会場。

『それではみなさん、素敵なパーティをお楽しみください』

いったい何が言いたかったのかわからないが、とりあえず皆はパーティを楽しむ
ことにした。


説明するのを忘れていたが、エルフたちの父は、総理大臣だ。
評判は、まあまあ。しかし、そんな父のことをよく思わない人もいた。
例えば……

「どうも。この度は息子さんが18になられましたことを、たいへんおめでたく思
います」
「おう、いつもお世話になってるよ。息子はな……」

この人は顔は笑ってるが、瞳は笑ってない。多分あの連中だろう……



そしてパーティが終わり、時刻は夜11時。メイドたちの片付けも終わり、リビン
グには全員がいた。

「それにしても、お坊っちゃまは本当におおきくなられましたね……」
「いえいえ……」
「ふふふふ……」

「お楽しみ中失礼致します。今日は皆さまに話したいことがあります」

さっきまでにぎやかだったリビングが、しん……と静まりかえる。

「私の……そう、emptyの話をしましょうか」

父が少し歪な顔をする。

「emptyは心が空っぽ。はじめのemptyは、わたしたちの先祖の、シンデレラです
。シンデレラのお話は、リン様は全ては知らないでしょう?」

リンが、コクリとうなずく。

「……happy end。で終わるんですよ。ある意味では」

emptyは、そっと絵本を取り出す。

「……魔女が真実を伝えたあと、シンデレラは親を殺したんです。そのあと、自ら
も……」

おかしい。明らかにどこかがおかしい。

「シンデレラは私たちの先祖ですよね?なのに、どうして


死んでいるんですか?」


父の顔が歪む。口は小さく、バレたか……と動く。
私にシンデレラを教えてくれた父。主人である、大切な、父。

「……しかたなかったんだ」
「わかってますよ」

emptyはそれだけでは止まらない。

「シンデレラは親を殺したあと、逃げたんですよね?そして、子供を産んだ。それ
がピル。……私たちのずっと前のお母さまです」
「おまえ、なぜそれを!?」
「だって、聞きましたから。



お姉さま<シンデレラ>に」



ありえない。狂っている。

「私はシンデレラで」
「やめろ!!!」
「見えない鎖<メイド>で縛り付けて」
「これ以上は!!」


「娘にこんなものをよく履かせられましたね」


父が父でなくなったその瞬間、カンと鈍い音がした。

「ガラスの靴……emptyの感情をさらに抑制する靴」

アルや、リン、メイドたちは意味がわからない。
ただの革靴だろう、と。

「見た目は革靴ですが、ガラスでできています」

emptyが実際に靴を叩いて確かめてみせる

「emptyというのは、空っぽというわけではないのです。



抑制させられてるだけなんですよ」


もとは少し感情が表れにくい、ふつうの少年少女なだけ、とemptyは説明した。

「そして、その感情を全て抑制する靴……」

もう父はなにも言わなかった。ただ立っているだけの人間。もう父ではない。

「……実の娘によくこんなものを履かせましたね」

父の顔が苦痛に歪む。

「……まあ、良いでしょう。そろそろいきます。私は」

かちゃり

emptyはいつのまにか自分の頭に銃をかまえていた。

ダメ、エルフ姉ちゃん!!
やめるんだ、エルフ!!
お嬢様!!!

「……最後くらい、私の思い通りにさせてください」

ずっとずっと、あなたに見せたかった。

私はあなたの娘だよっ、て。

そして

emptyは

抑制させられた

感情を

吐き出して

可憐に

かつ悲しい瞳で


笑った。


バンッ



願わくば、次の世界でもあなたにあえますように。


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あとで他の部分を修正します。とりあえず、まだ終わってません。