ダーク・ファンタジー小説

Re: 白雪姫の林檎【デビュー作をアレンジしてみた。】 ( No.6 )
日時: 2013/07/15 22:20
名前: みみぃ ◆xFy/V8wehE (ID: 8jXgF63k)

*マッチに願いを。*登場人物紹介

主人公 ルナ
マッチを売る少女。
意地悪な義父親にこきつかわれている。

主人公2 リッカ
大企業のお嬢様。
心優しい少女で、ただ1人、ルナのマッチを買った。

他 ルリ
由緒正しい貴族の1人娘。
いじめっこ。何でも父に頼る。


…これくらいですかね?
突然設定が変わったりするかもしれませんが、おきになさらず。

Re: 白雪姫の林檎【デビュー作をアレンジしてみた。】 ( No.7 )
日時: 2013/07/07 21:34
名前: みみぃ ◆xFy/V8wehE (ID: 8jXgF63k)

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いつの年かの、クリスマスの日だった。その日は雪が降っていた。そんな中
、少女のマッチを売る手は震えていた____
商店街は、多くの人でにぎわっていた。家族、恋人、友達。みんなクリスマ
スを楽しんでいる。
「…マッチを…買って、下 さい…」
声がする。それは弱々しい声で、とても小さかった。
「マッチを、買って 、く だ さ い…」
その声は、賑わう商店街のなかでは誰の耳にも届いていなかった。
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                             一時保留。

Re: マッチに願いを。(マッチ売りの少女)【白雪姫の林檎短編集】 ( No.10 )
日時: 2013/07/11 20:45
名前: みみぃ ◆xFy/V8wehE (ID: 8jXgF63k)

お待たせしました!…してないと思うけど。
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「マッチ は、要り ませんか…?お 安いです よ…?」
歩く。
「だ、れ か…」
雪の道を。
「マッチを…………買っ て…」
かじかんだ手は、思うように動かない。
「…なん で。みんな……………」
すでに瀕死状態のその体は、すごく、すごく、小さい。
「…いけない。全部売ら、ない と…」
はきだした息が、白い。
「…おとぉさ ん。助け てよぉぅ!!!!」
少女は力の限り叫んだ。そんな少女の叫びは虚しく、辺りを包む雪とクリス
マスにとけていった。



きっと、誰か助けてくれる。そう信じて、今まで生きてきたよ?

お母さん、私を褒めて!ほら、こんなに家を燃やしたんだよ!
お父さん、私の頭を撫でて!ほら、こんなに人を殺したんだよ!

だからね、私を褒めて。殺した人も、お母さんも
、お父さんも______

『お父さん、あのねっ、あのねっっ!』
『ああん?そんな暇があったらマッチ売ってこいよ。』
『あのねっ、あのねぇっ!』
『うるっせーな!はやくでてけ!!!』
『お父さん、あのねっ、あのね、私ねぇ…』




_____私を、褒めて。




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Re: マッチに願いを。(マッチ売りの少女)【白雪姫の林檎短編集】 ( No.11 )
日時: 2013/07/12 19:54
名前: みみぃ ◆xFy/V8wehE (ID: 8jXgF63k)

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ああ…今日も売れなかったなぁ…残ったマッチたちは音をたてて赤い光を放
つ。

さあ。

あなたはマッチを買ってくれませんでしたね。とても、とっても、悲しいで
す。悲しいのは、私ではありません…このマッチが涙を流して泣いているん
です。

買ってくれなかったマッチたちは私にこう言います。

『ひどい…悲しいよぉ』『死にたくないよぉ…』『うう……』


『『『『ダカラ、全部燃やしちゃえ☆』』』』

だから、私は赤い炎をつくります。そして……目の前の"幸せ"に放ちました
……

思いをのせ、それをいくつも。



それはそれは綺麗な赤色でした。



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Re: マッチに願いを。(マッチ売りの少女)【白雪姫の林檎短編集】 ( No.12 )
日時: 2013/07/14 15:06
名前: みみぃ ◆xFy/V8wehE (ID: 8jXgF63k)

話がだんだん掴めなくなってきたー(笑)
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1日一軒。燃やして燃やして。毎日毎日、マッチをすった。
これが…全部無くなれば…


ああ…燃やし続けて何日たったのでしょうか。なんだか身体が重いです。マッチは
残りあと少し。大丈夫。まだいけます。

「マッチはいりませんか?…マッチは…」

飢えが滲むその身体に力をこめ、懸命に叫ぶ。でも、その声は小さくて、小さく
て。届かない。ただただ虚しく。


誰か助けてください。



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「お父様ー!」
「おー、なんだい、リッカ?」
その時、10歳の少女が商店街に訪れていた。

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Re: マッチに願いを。(マッチ売りの少女)【白雪姫の林檎短編集】 ( No.13 )
日時: 2013/07/15 06:56
名前: みみぃ ◆xFy/V8wehE (ID: 8jXgF63k)

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「ねー、あれ買って〜」
「ん?あー、いいぞ。リッカはかわいいな。」
裕福そうないでたちの少女リッカは、すでにルナの近くにいた。
「リッカ、ちょっとお父さんはあっちに行っているから、ここで待ってなさ
い。」
「はーい!」
可愛らしく微笑んでリッカは父に手をしばらく振りつづけた。
父がいなくなったので、リッカが1人、商店街を歩いていると…
「なんかほしいなぁ……」
お腹が空いてきた。お金はあったし。
「あっ、ハンバーガーだ!」
その時……

「……マッチは要りませんか?あたたかいですよ…」

店の隅っこでマッチを売る、1人の少女がいた。

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Re: マッチに願いを。(マッチ売りの少女)【白雪姫の林檎短編集】 ( No.14 )
日時: 2013/07/15 21:57
名前: みみぃ ◆xFy/V8wehE (ID: 8jXgF63k)

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誰だろう。私と歳は同じくらいかな……
リッカと同じくらいの少女は、目立たない店の隅っこでなにかを握っていた。気
になったので、近づいてみた。そこには驚くべき光景がリッカに待ち受けていた


「え……あ……」

ぼろぼろのつぎはぎされたエプロン、
すすだらけの顔。

そして何より、

痩せこけて骨のように細い腕、
抱きしめたら折れてしまいそうなか細い身体。

「人間じゃない。」

こんな人間を初めて見た、裕福な少女はそう呟いた。

その言葉が聞こえたのか、その少女は振り返った_________

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Re: マッチに願いを。(マッチ売りの少女)【白雪姫の林檎短編集】 ( No.15 )
日時: 2013/07/16 20:19
名前: みみぃ ◆xFy/V8wehE (ID: 8jXgF63k)

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振り返った少女はびっくりしたような表情をしていた。
「あっ…」
聞かれてしまった。ひどいこと言っちゃった……
リッカは目の前の少女に頭を下げた。
「ごめんなさいっ!ひどいことを言ってしまいました!」
すると、少女はきょとんとした可愛らしい顔をした。
「え?…そんなこといいましたか?」
「そそんな…私をかばわなくてもいいんですよっ!」
「へ?どうしてですか?」
しばらく、少女は私をかばってくれているのだとリッカは思っていた。しかし

ぐ、少女が本気でそう思っているのに気づいた。

あんな近くで言ったのに……

少女の耳はすでに壊れかけていた。

「……あの、何を売っているんですか?」
「あ、マッチです…」
「そっかぁ……」
リッカは自分の手持ちの残金を見る。
(150ミルか……)
これだけあればハンバーガーが1つ買える。しかし、マッチを買えばハンバー
ガーは買えなくなる。
「あの……」
言いづらそうに、リッカが切り出す。
「えと、マッチはちょっt…」
「わかってますよ。」

……あ

少女は悲しい、悲しい、とても切ない顔で__________

「わかってたんですよ。はじめから。こんなマッチ、誰も買ってくれない
って。…あなただけです。こんな私を見つけてくれたのは。」


「さよなら。」

_____笑った。

その姿はどんな人よりも美しかった。
こんな時に笑えるなんて。
あなたはすごいね……
少女が後ろを向いて去っていく。

強い。私には絶対できない。でも、この娘は強くてもいつか…

「待って!!」

少女が振り返った。その瞳にはやはり涙が浮かんでいた。

「マッチを7箱ください!」

ぱああっとクリスマス・イブに華が咲いた。

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Re: マッチに願いを。(マッチ売りの少女)【白雪姫の林檎短編集】 ( No.16 )
日時: 2013/07/18 22:36
名前: みみぃ ◆xFy/V8wehE (ID: 8jXgF63k)

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その日の夜______

ドンドン、ドンドン。
「ねえねえ、お父さん。」
ドンドン、ドンドン。
「今日ね、マッチが7箱売れたんだよ。」
ドンドン、ドンドン。
「だからねぇ……」
ルナは懸命に扉を叩く。
「開けてよ。お家に入りたいよ。」
中からは音1つ聞こえない。
「ねえ………



開けてよぉぉぉぉぉぉぉぉ」



家のなかでは1人の男性が餓死していた。



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もう、足がうまく動かないな……
ルナの足はすでに腐敗し、限界にまで陥っていた。
……なんだか眠いなぁ……このまま眠っちゃえば楽になれるのかな?
目を閉じて……夢の世界へと……行ける…?
「お母さ…ん」

「あら、ご機嫌よう。」

夢の世界への入り口にはきらびやかな少女が立っていた。

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Re: マッチに願いを。(マッチ売りの少女)【白雪姫の林檎短編集】 ( No.17 )
日時: 2013/07/23 22:12
名前: みみぃ ◆xFy/V8wehE (ID: 8jXgF63k)

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目がさめるほど鮮やかなドレスを身にまとったある少女がルナの目の前に立って
いた。
「あ、あなたは誰ですか……?」
「ルリ・ヴィーナスよ。」

背筋がゾクッとした。
蕀<いばら>のヴィーナス……この辺じゃ有名人だ。
親がこの辺を牛耳っていて、その2人の1人娘であるルリは、何をやっても全て
帳消しにされるため、よく弱いものいじめをしている。
その姿は残酷で、まさに真っ赤な薔薇のよう。いつも真っ赤なドレスを着ている
ためでもある。しかし、特に美人というわけではない。ていうかブサイク。

そしてそんな彼女が私のところへやってきた理由はただ1つ_______


蹴り飛ばされる。

とたんに映像がスローモーションになる。
籠から全てのマッチが飛び出て泣き叫ぶ。
そして私も泣いた。

それと同時に鋭い痛みが襲いかかった。

「おほほほほ。今日はリッカ様のお屋敷でノエルを祝うのですわ。」
そんなルナとは裏腹に、ルリは楽しげに笑う。
「あなたも来てみてはいかがかしら?あ、無理ですわね。あなたにはパーティード
レスなんてもの、ありませんでしたわね。残念だわ。本当に。おほほほ」
納得と怒りが同時に込み上げてきた。
「それでは、ごきげんよう。」
ニヤニヤといつまでも笑いながら、ルリは去っていった。



1人マッチを拾うルナは、腐った脳で、考える。

ああ、なんて私は可哀想なんだろう、と。

うまれたときから死ぬときまで____

だからね。

最後に______

復讐を。

復讐ヲ。


******************************************************************
彼女のあとを追い、屋敷を見つけた。
ずいぶん立派な屋敷で、他の建物か全て小さく見えた。
ここに……アイツが……
もはやルナには、嫌がらせでさえも許せなくなっていた。
ごそごそと籠のなかを探る。

そこにあったのは、1本のマッチだけだった。

「…あは、あはははははははははは!!!」

頭が腐ったルナでもわかる。これじゃこんな大きな建物は燃やせない、と。
「ふふふ。そんなことだろうと思ったよ。」

突然ルナはニヤリといやらしい笑みを浮かべた。
そして、庭の茂みをごそごそとあさり、あるものを取り出した__
それは……


____大量のガソリンだった。




「これでいっぱい燃やせるね……」
ガソリンを辺りに撒いて、
ルナは最後のマッチをする。

ぼわぁぁぁぁっと一気に炎は燃え移り、すぐに屋敷じゅうが燃え始めた。

「やったぁ」
最後の望みは叶えられた。もう心残りはないね。

……あれ?
何かいいにおいがする……
わあ、ケーキだ…
そっか、今日はクリスマスかぁ……
……あ


いろんな光景が炎のなかに見えた。

お母さん、
お父さん、
義父さん。

皆、炎の奥へ去っていく。

…待って!!行かないで!!

お母さん、お父さん!!!

あ、そうか。

こっちから行けばいいんた。

お母さん、お父さん。

今すぐそっちへ行くね。

ルナはゆっくりとあるきだした______

その後、少女の姿を見たものはいない。
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マッチに願いを。、完。