ダーク・ファンタジー小説
- Re: 世界は君の掌に ( No.16 )
- 日時: 2013/08/02 22:19
- 名前: クラウド (ID: 69bzu.rx)
【世界は君の掌に 〜番外編3〜 】
レネアは大きく鎌を振りかざす。俺はそれをタイミング良く避けた———
——————はずだった。
レネアの握る漆黒の鎌は俺の肩をかすり、血しぶきをあげる。
「・・・っ!」
さすが大悪魔というべきか。鎌を振り下ろすスピードといい、パワーといい、どちらも俺を超える力を持っている。
「マジかよ・・・!!」
俺は焦り始めていた。人型の大悪魔といえども、ここまで強い者はそうそういない。
ミカエル達に援護を頼みたいが連絡するためのスペルを唱える余裕もない。
「あははははは!!大天使の弟って言っても全然大したこと無さそうだね!あはははは・・・」
コイツ・・・ヤバい!精神的におかしいし、まず眼が血を求めているような眼をしている・・・!
それにこの強さ・・・!反則だと言いたいほど強い。
レネアが鎌を横から切り付ける。
鎌は俺の腹を切り裂き、さっきよりも大きく血しぶきがあがる。
「・・・グッ!」
腹から血が滴り落ちる。
ポタッ・・・ポタッ・・・と音をたてて血が地面に滴り落ちてゆく。
「やっぱり・・・大したことないね。君も。」
君【も】?
「君もって・・・どういう事だよっ・・・!!」
「さっきもね?紫の髪の天使がいたんだぁー!でも・・・」
「どうしたんだよ?アイツを・・・」
「それは自分で確かめてねー!あはは!」
「殺したのか?」
「さぁー?自分で確かめてきなよ☆彡」
俺の中の何かが切れた
一瞬で頭に血がのぼった気がした
「・・ざっけんなよ!!」
「・・・!!」
キレた俺にひるんだのかレネアの顔から笑いが消えた。
俺は大魔法のスペルを唱える。
「・・・に・・・せよ・・・の神・・・我に・・・力を・・・」
「!?」
レネアは危機を察し、身構えている。
「イフリート!!」
俺が叫ぶと火を司る大精霊イフリートが姿を現した。
「なに・・・コレ・・・?」
レネアの顔からもう笑みは消え、唖然とした表情になっている。
「・・・殺れ。イフリート・・・」
命令するとイフリートは何も言わず、炎の魔法を発動しレネアを攻撃する。
レネアは避けるだけで精いっぱいだ。
イフリートが複数の火の玉を飛ばす。レネアはそれを避けていたが————
「・・・!!」
火の玉の一つがレネアの翼に当たった。するとレネアは体勢を崩し、残りの火の玉が一斉にレネアを襲う。
「グゥッ・・・・・!!」
レネアは倒れこみ、激痛に悲鳴をあげている。
「終わりだ・・・。イフリート、ラストスパートだ。跡形もなく消し済みにしてやれ。」
「クッ・・・・・・・!」
レネアが歯をくいしばる。
イフリートは手を太陽にかざす。イフリートの手は激しく燃え上がる。
そしてイフリートが手をレネアに向けると——————
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
激しい音をたてて路地裏が崩れ、瓦礫の山となる。
「殺ったか・・・・」
