ダーク・ファンタジー小説
- Re: 世界は君の掌に ( No.6 )
- 日時: 2013/07/15 21:27
- 名前: クラウド (ID: gF4d7gY7)
【第三話】〜悪魔の書〜
新たな世界では見たことがない景色が見渡す限り広がっていた。
空には無数のドラゴンや巨鳥が飛び交い、陸には変わった生き物たちがたくさんいた。
オレが呆気にとられているのとは裏腹にアレンは何事もないようにドラゴンから飛び降り、
「また頼む。」
と言ってすたすたと歩きはじめる。ドラゴン達はグオオオオオオ・・・と鳴いて、果てしなく広がる空へと飛び去っていった。
気づくとアレンはかなり遠くまで歩いて行ってしまったらしく、アレンの後姿は小さくなっている。
アイツについて行くのも危険だがこんな得体のしれない場所でうろうろしているほうが余程危険だ。
仕方がないが、しばらくはアイツの人質になってやろう。
そんなことを考えながらアイツの後を追った。
追いつくとアレンはニヤニヤと笑いながら
「なんだ、一人じゃ恐いのか?クク・・・・」
と言った。オレは言い返そうとしたが負け惜しみに聞こえそうなので言い返すのを断念した。
オレ達が歩いている道の先に街が見えた。大きな建物やビルがいくつも建っていたので都会と思える。
中央には豪勢な屋敷が建っている。
街の前までくると、街の大きさに少し呆気にとられる。
そこでオレはふと思ったことを口に出した。
「お前は街に入って平気なのか?お前大罪人なんだろ。」
「問題ない。まだ手配書は作られてないしそもそも私のことを知る人物は数少ない・・・」
大罪人なのに知ってる人が少ないとか危険だな・・・
きっとあれだな国家機密レベルのなんちゃらかんちゃらだな・・・
そんなくだらないことを考えながら歩いてるうちに街の宿屋に着いた。
「予約は取ってある。先に中で待ってろ」
と言い、アレンは街の中央へ向かった。
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案の定、宿の部屋は奇麗でソファなどの家具が行儀良く配置されていた。
ソファに横になると頭がボーッとなる・・・
その後オレはどうやら眠りに落ちてしまったようだ・・・
「・・い、おい、起きろ」
うぅ・・・頭が痛い・・・眼を開いた瞬間腹に激痛が伴う。
「ぐはぁっ!!!」
オレは豪快に吹っ飛ぶ。
「ぐ・・・け、蹴る必要はないだろ!!」
「いや、お前が起きなかったのが悪い」
「ゆすって起こすとかしろよ・・・」
「ほう、そんな手もあったな」
こんな危険な起こし方しかできないとは・・・
やはりコイツはヤバい。危険だ。
だが、アレンはあたかも何もなかったというように黙々と書物を読み始めた。
「何を読んでるんだ?」
「闇魔法についての魔法書。さっき屋敷から盗ってきた。」
「盗ってきた・・・って、それまさか無断で持ち出したんじゃ・・」
「あぁ、無断で持ち出した。」
ああ、やっぱり・・・
うなだれるオレを気にせず、アレンは黙々と魔法書を読み続けている。
が、しかし最後のページで首を傾げた。
「む・・・?」
ヤバい。だがそう思った時はもう手遅れ。魔法書はひとりでに中に浮かぶ。
と、次の瞬間魔法書の中から青髪の少年が飛び出す。
だが、普通の少年ではない。背中からコウモリの様な黒い翼が生えている。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「ぐっはぁ!!!!」
またオレは豪快に吹っ飛ぶ。
「痛ってぇぇ・・・・・」
少年は頭を抱えながらうずくまる。
「うぅぅ・・・・」
オレは腹をさすりながら立ち上がる。
「誰だ・・?お前」
その質問に答えたのは少年ではなく、アレンだった。
「そいつはこの魔法書に閉じ込められてた大悪魔だ」
「はぁ・・・?」
「そう!俺はそこの目つき悪い女が言ってる通り、この魔法書に封印されてた大悪魔、ルシファーだ!!」
(無駄にテンションが高い悪魔だなぁ・・・)
これがオレがこいつに持った第一印象だった。
「うん、それでその悪魔が何の用で魔法書から飛び出したんだ?」
「ん?ああ!俺さ、この魔法書から出られたら誰かと契約しないといけないわけ!!」
「ふーん、それで?」
「あ、もういいや!そこの目つき悪い奴の方が魔力的にも圧倒的に上だし、そいつにしようかなーと思ったけど・・・」
ルシファーはニヤリと笑いオレを見た。
「?」
「お前に決ーめたっ!!」
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その日からオレは【大悪魔ルシファー】に獲りつかれてしまったのである。
