PR
ダーク・ファンタジー小説
- Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.102 )
- 日時: 2012/10/11 17:55
- 名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: AKehFwYl)
第三十九話 「ありがとう」
沈黙が流れる
「・・言うな・・」
手李拏が低い声で言った
「夢星の監視役なんて言うな・・」
「・・・ふぅーん」
目を伏せ、再び目を開ける
「次言ったらぶっ飛ばす!」
「やっぱり・・・」
髪をいじる手を止め、唇をなめる
パキパキッ・・・
「平和過ぎて・・・つまらないな、夢星」
フッと視線が冷たさを増した
視線の先には氷で覆われた手李拏の姿がある
その姿を凪は無表情に見ていた
先ほどの彩女の仕草は合図、命令だったのだ
凪は彩女に作られた人間兵器だ
しかも自分から頼み込み、自分が人間兵器となったために彩女は上の博士たちから軽蔑の目で見られたことがあった
そんなときでも彩女は気楽に振舞った
けれど凪は失ってしまった心が痛んだ
だから約束をした
『私が、魔神を・・・・守るから』
そういうと彩女は嬉しそうに、照れたように笑った
まだ幼さが残る顔立ちで
『ありがとう、凪』
「ありがとう、凪」
ポンッと肩を叩かれ、凪は改めて手李拏を見た
「・・・」
「ソレは新しい子に梅干ちゃんのところに返品しに行かせるからね」
そういうと魔神は白衣を翻し、奥の研究室へと姿を消した
その様子を凪は無表情に見ていた
「・・・」
フゥ、と息を吐き、窓から空を見た
さっきの言葉も、昔とは違う
今と昔の自分たちの関係は、ずれていた
いつから、魔神は・・ああなったのだ
凪は森へと足を進めた
PR