ダーク・ファンタジー小説
- Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.106 )
- 日時: 2012/10/13 23:24
- 名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: AKehFwYl)
第四十一話 先輩、後輩、同房
少年たちが着いたのは研究所だった
あちこちが破壊された研究所
周りには人間が転がっている
一人の少年が倒れている人間に駆け寄った
「・・・生きている」
脈を確認してもう一人に言った
もう一人の少年は驚いたように目を丸くさせた
そして笑う
「優しいねぇ、002はぁ」
「・・・002は元より思いやりの心を持ち合わせていた」
ぶっきらぼうに少年は立ち上がりながら言った
「ふぅーん・・・002に対しては随分とお優しいことでぇ、001」
001と呼ばれた少年は扉へと歩いていく
その後ろをクスクスと笑う少年がついていく
「・・・お前も004に対しては素直だと思うがな。003」
「別にぃ?そんなこと私はしてないからぁ」
クスクスと笑う003は001の隣に並ぶ
堂々と破壊された扉をくぐり、奥へと進む
「ぅっ・・・・」
うめき声が上がった
ガラガラと崩れた壁の一部分が落ちていく
山となっていたところから可憐な少女が顔をのぞかせた
傷を負っているが致命傷ではない
ただのかすり傷だ
服もあちこちが破れている
「っつ!」
不意に頭を抑えながら立ち上がる
「002・・・あの人・・・本当に・・何がしたいのよ・・・」
フラフラと危ない足取りで奥へと進む
目指すはシェーミがいる研究室
そこへ002も向かった
「早く・・・先輩が・・・002が・・・」
どちらを助けるのか、どちらが危ないと言いたいのかわからない
004にとってシェーミは大切な先輩だ
しかし002は幼少の頃より共に育ち、戦い抜いてきた同房だ
どちらも004にとっては大切な存在である
「とりあえず・・・行かなければ」
ゆっくりと、けれど確かに004は奥へ向かって進み始めた
「お聞きしたいことがあります」
凛とした声が研究室に響いた
相も変わらず、雪の花のようだな、とシェーミは思った
「・・何用だ、002」
腕組をしながら、冷たく尋ねる
しかし、002は表情を変えない
「私は貴方に尋ねたいことがあります」
「・・・それだけのために我が研究所へ無理矢理押し入ったのか」
怒りを含ませると002は少し表情を曇らせた
「そこは謝罪しましょう・・・こちらもできれば誰も傷つけることなく入りたかったのですが」
「ほぅ・・お前が言うのか」
嘲笑うように言うと002の目が少し光った
「予想外に人間が多かったので・・・致し方なく」
「・・・004はどうした」
「・・・」
その問いに002はまた顔を曇らせた
「・・・破壊は・・・していません」
その返答にシェーミは安心した
大事な後輩で、よく後を付いて回ってくれた可愛い妹のような存在だったのだ
「だから、004がここへ来る前に尋ねます」
「・・・いいだろう」
言うが言い、と放つと002は冷たい瞳を正確にシェーミの瞳と交わらせた
「あの人が・・・・・」