ダーク・ファンタジー小説
- Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.134 )
- 日時: 2013/01/13 23:00
- 名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: TQfzOaw7)
第十二話 行くぞ
彩女はフードの青年を睨みつける。
「そんなに睨まんといて」
困ったように青年は微笑んだ。
水色の瞳と限りなく黒に近い緑色の髪は、彩女の髪よりサラサラとしている。
年齢は彩女より年下の印象を受ける。
「・・幽博士、ニコラス・フラメルに間違いない」
ニコラスの隣に立っている小さな少女が言う。
その言葉に、青年は笑ってうなづいた。
「・・・新羅幽・・・博士ですか」
ポツリと青年が言った。
凪を抱いているが、視線はその博士へと向けられている。
「やぁ。君は・・魔神さんの人間兵器なんやね」
「は・・?あ・・。そうです」
「新羅!何故貴様がここにいる!!今更何故私の前に姿を現すのだ!」
冷静なはずの彩女。
その彩女が叫ぶ。
「うん。それは話すよ。でもな、とりあえず・・・」
チラッと幽は後ろを見る。
急なことでニコラスは呆然としている。
「ブロック」
少女の名前だけをつぶやく。
すると、それが合図かのように少女、ブロックはニコラスの方へと向き直る。
ニコラスは小刀を作り出し、それを近づいてくるブロックに向けて突き刺す。
しかし。
「・・・ッ!ぼ・・くは・・・?」
フラッとよろけたかと思うと、小刀を手から落としてニコラスは小さくつぶやいている。
「あぁ、ちょうど良かった。表の性格が出てくれたんやね」
「・・・え?」
幽はニコラスに微笑みかける。
一瞬キョトンとするが、すぐに寄り添っていた樹の後ろへと隠れる。
「ごめんなさい・・。僕が何をしたかは覚えてないんですけれど・・」
「何だと!?ふざけるな!凪を傷つけておきながら・・」
彩女の剣幕にニコラスはビクリとする。
「魔神さん、ニコラス君は二重人格で、凪ちゃんを傷つけたのは裏の子なんや。だから今のあの子を責めんといて」
幽は彩女にそう言い聞かせる。
「・・・あなたは、博士ですよね」
ニコラスの問いに、幽はうなづく。
「・・僕は博士が苦手なんです」
「知ってるよ。君の過去も知っている。あっちこっち行っちゃうから追いかけるの大変やったんよ?」
「幽博士、あまり焦ってなかった。ちゃんと追いかけなかったのが悪い」
ブロックが口を開いた。
「うん、まぁ・・。ごめんな、迷惑かけて」
「別に・・・幽博士はつみきの博士だからいい」
「・・・おい、新羅」
二人のやり取りを見ながら、彩女は声をかける。
「何?」
「そいつのことを追ってきたと言った・・・。そして今更出てきた理由も説明すると。二つのことを、話してもらおう・・・」
冷静さを取り戻したのか、彩女は落ち着いていた。
「ええよ」
「私の研究所が近い。行くぞ」
バサリと白衣を翻して研究所へと歩く。
不安そうにニコラスが幽博士を見て、ブロックがニコラスの後ろへとついた。
「朽葉、凪を頼む」
「分かりました」
目の前で繰り広げられていたやり取りからやっと抜け出せた。
青年、朽葉はホッとため息を漏らした。
腕の中で機能を停止している凪に目をやって、朽葉も彩女たちのあとをついていった。