ダーク・ファンタジー小説

Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.158 )
日時: 2013/04/05 10:05
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: TQfzOaw7)

第二十七話 道具じゃない



ハァ、ハァと荒い息遣い。
ニコラスは頭をまだ抱えている。
遥はつかつかと遠慮なく歩み寄る。

「お前、名前は?」
「う・・・ぁ・・・」
「・・・」

一気に今までの過去が頭の中を駆け巡った。

「ニコラス・フラメルだ。そいつは」

彩女が言い放つ。

「ニコラス・フラメル?」
「新羅の保護対象だ」

凪を抑えながら言い放つ。
朽葉も凪を抑えている。

「じゃあ手荒な真似は・・・」
「新羅に怒られてもいいなら」

遥も彩女も幽とは同じグループだったのだ。
性格はよく分かっている。

「だよな・・」

引きつった笑いを浮かべた。

「ニコラス、少し落ち着こうぜ・・」
「僕は・・俺は・・・あぁ・・っ!」

話しかけても対応がない。

「・・・0から創られた人間兵器」
「!」

ピクッと反応した。
ゆっくりとこちらを見る。

「№にアルファベットが入っているのは、“消されたはずのデータ”から創られた“存在してはならない人間兵器”の証だ」

ニッと笑みを浮かべる。

「あなたも・・僕をそんな風に見るのですか・・」
「あ?」
「道具としてしか見ない、って言霊の“記憶”が教えてくれた・・。あなたもそうなんですか・・」

かけがいのない友達だった言霊。
その記憶が教えてくれる。

「はぁ?そんな風に見てねぇよ・・・。だって・・・」

目を伏せる。

「あの人との・・約束なのだから」

思い描いたのは憧れた博士の姿。

「約束・・・」

口に含むようにつぶやく。

「言霊・・一緒に・・・」
「・・なぁ、お前に何があったか知らねぇけど、俺はお前の事を道具なんて思ってねーよ。そんな馬鹿な博士たちと一緒にするな」

ため息を吐きながら言い放つ。

「・・・本当・・ですか?」
「当たり前だ。分かったならしっかりしろ。過去は変えられない。これから先をどう生きていくかが大切なんだよ」
「遥にしては正論を言ったな。今日はどうした?熱でもあるのか?」

白狐が顔をこちらに向けた声をかける。

「おい、白狐!それどういう意味だよ!?」
「さてなぁ・・・」
「うわぁ・・」

そんなやり取りを見ていてニコラスは顔を和らげた。

「(博士と人間兵器が・・こんなに仲良くなれるんだ)」
「なぁニコラス」
「!・・・はい?」

遥から声をかけられた。

「お前さ、能力なんだっけ?」
「え、えっと・・・何でも創り出せますよ・・?」
「あ、いい感じ。ちょっと俺たちに協力しねぇか?」

はぁ?と首を傾げれば遥はニッコリと笑った。