ダーク・ファンタジー小説

Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.191 )
日時: 2013/05/12 09:53
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: TQfzOaw7)

第三十八話 多すぎ


「いやぁ、良く寝た・・。ってお前ら何してたんだ?」

ニィ博士があくびをかみ殺して眉をひそめる。

「え、マスター、コイツの事知ってるの?」

藍色の髪の少年が尋ねる。
笛の切っ先はまだ喉を狙っている。

「あぁ。まぁ、なんていうか・・。『雑用係』?」
「『博士見習い』ですっ!博士、酷いですよ!?」

疑問系で答えるニィーアに、奇跡は慌てて反論する。

「そういえばそうだったな〜・・」
「覚えてください、お願いします」

はぁ、とニィーアがため息をつく。

「分かったよ。『博士見習い』だな。・・・・面倒くせぇ」

最後の言葉はボソリとつぶやかれた。
しかし、聞き取れたようで・・。

「博士!?面倒くせぇ、って言いました?言いましたよね?」
「ちょっとキミ黙ってよ」

笛がグッと押し当てられる。
少年は奇跡に顔を近づけてゆっくりと口を開く。

「あのさ、泡沫が寝てるんだよね、まだ。起きちゃったらどうするの?キミ責任取ってくれるの?」

泡沫、と呼ばれた少年は確かにまだ眠っている。
ニィーアは泡沫の頭を、綺麗にたたんだ白衣の上にそっと置く。

「いや、博士が・・」
「マスターのせいにしないで」
「止めろ舞異舞異。そいつは敵じゃねぇよ。分かってるだろ?」

ニィーアが声をかける。
舞異舞異は空色の瞳をニィーアに向けて、不満そうに小さくうなづいた。

「≪動ける≫」

奇跡の体が“何か”から解放された。
腕が動くようになった。

「・・・え?」
「大丈夫か、奇跡?」
「え、あ、はい。うん、まぁ・・」

わけが分からないようで頭の上にはてなマークを浮かべている。

「んで、奇跡。何しにきた?」
「あ、えっとですね・・・」

側に置いてあった書類の束を拾う。

「この書類の最終確認と、留守の間の報告を・・・」
「オヤスミ」

ニィーアがもう一度眠ろうと横になろうとする。

「ダメですよ博士!」

慌てて奇跡が止める。

「いや、だって・・。多すぎだろ。面倒くせぇ」

ぶつくさ言う。

「え、マスター寝るの?じゃあ僕ももう一度寝ようーっと♪」
「そうしようぜ」
「いやいや、止めてください」
「奇跡お前も一緒に寝よう」
「はい?」

奇跡が書類を落としそうになる。

まったく、なんて言って良いのか・・。
この博士は・・。

「博士、いつかやるものですから先にやりましょうよ」
「俺は戦争とかにしか興味ねぇからお前に任せた。『博士見習い』だろ?」
「!!」

ニッと意地の悪い笑みを浮かべる。

「(こんの・・・っ)」

思わず書類を持つ手に力が入った。

「いい加減にしてくださいって!怒りますよ!?」

そう怒鳴った時だった。

「ぅ・・ん・・・。な・に・・・?」

眠っていた泡沫が目を覚ました。