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第四十六話　心配


足元の花が揺れる。
ローブをかぶり直した風羽は、顔を上げた。

「・・・“私”の・・弟？」

もたれかかっていた木から体を起こし、立ち上がる。
その瞬間。

「博士、我々と同行願います」

周りから聞こえた声。
いつの間にか囲まれていた。
ザッと見て三十人余り。
見覚えのある紋様が刺繍されている黒い服。

「国からの追手？・・いや、違う」

クスッと笑みが漏れる。

「あの人が差し向けた追手・・ですね」

冷ややかな殺気が辺りを纏う。
思わず身を震わす追手たち。
しかし、引き返すことなどできはしない。

「あの方も心配しております。ですので・・」
「心配？」

首を傾げる。

「あの人が“私”を心配している？そんなことはありませんよ」

穏やかに、けれどどこかあざ笑うように囁く。
小柄な体をスッポリと覆うローブがそよそよと揺れる。

「同行願いませんか・・」
「もちろんです」

その場の空気が変わった。

「仕方がありません」





「これも仕事ですので、失礼します」





















全員が一気に地を蹴り、風羽へと襲い掛かる。



風羽は優しく微笑んだ。

「無理強いはよくありませんね」

強い風が吹いた。