ダーク・ファンタジー小説
- Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.238 )
- 日時: 2013/08/25 22:41
- 名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: T3UB3n3H)
第五十六話 誰かいる
一瞬。
本当に一瞬だけ、違う匂いがしたことに白狐は気付いた。
面の下で眉を寄せる。
「どうかしたのか?白狐」
会話を中断させて遥が覗き込む。
他のメンバーもこちらを見る。
「誰か…いるぞ」
空気が張り詰めた。
彩女が隠していた拳銃に手を伸ばす。
幽はブロックと背中合わせになって回りを警戒している。
「分からないのか?」
遥が尋ねる。
首を縦に振ると、ふぅと息が漏れた。
「仕方がねぇなぁ…。どうするよ?」
「僕はいつでもええよ〜」
「いつでもいける」
「つみきは博士を守るだけ」
最後に白狐を見た。
「…匂いは二つだ」
「了解」
ニッと口角を上げた。
「あぶりだせ!」
白狐がその言葉と同時に部屋のあちこちに触れる。
「弁償はしてもらうからな」
拳銃の弾の確認をしながら彩女が言い放つ。
白狐が遥の隣に戻る。
「伏せろ!」
全員の頭が床に触れた瞬間、部屋が爆発した。
いや、部屋の中にあるいろんなものが一斉に爆発したのだ。
白狐の能力は爆破。
自分が触れたものを爆発させる。
白狐のどのような行動で爆破が起こるのかは不明だ。(それについては頑固として口を割らない)
「これで出てくるん?」
幽が遥に尋ねた。
「出てきたら好都合。出てこなかったら…」
「出てこなかったら…?」
バンッと音がした。
扉が開いたようだ。
「博士、御無事ですか!」
「何が起こった…?」
聞こえたのは朽葉と凪、二人の声だ。
隣の部屋から慌てて出てきたようだ。
「爆発音がしたからきたんですけど…何かされたんですか?」
「家を潰した…犯人…潰す」
「ちょ、怖いこと言わないで下さい、凪!」
口調からして元に戻ったようだ。
安心したような表情を見せる彩女。
「…遥、先ほどその博士と話していた続きだ」
「続き?」
「出てこなかったら、どうする?」
あぁ、と遥がつぶやいた。
「俺たちの監視か抹殺、もしくは捕獲が目的だと思う。だから、俺たちが動けばそいつらも動くはずだ」
「…つまり?」
ニッと笑った。
「外に出る!」
「はぁっ!?」
「走るぞ!」
ダンッと床を蹴る音がして、遥がボロボロになった部屋から走っていく。
まだ煙が残っており、上手く外の景色が見えない。
「チッ…」
白狐が舌打ちをしながらそれに続く。
「博士、つみきが手を引く…」
「ううん、大丈夫。行くよ…」
ブロックと幽も抜け出したようだ。
足音が遠ざかる。
「…遥の奴…絶対に弁償させる…」
咳き込みながら彩女が立ち上がる。
「爆破したのって新羅幽博士なんですか?」
「あの狐の面の女だ。まぁ、指示したのは遥だろうがな」
「弁償だけじゃ生温い。土下座させて引きずり回して森の奥深くまで連れて行って首だけ出して埋めましょう」
「凪、怖いですよ…」
淡々と言い放つ凪に、朽葉が突っ込む。
彩女が深々とため息をはき、拳銃を両手に持つ。
「二丁…? 魔神、両方で扱えた?」
「戦闘になったら一つじゃ足りないだろう…。相手の能力が分からない。油断は禁物だ」
キッと紫色の瞳が鋭く光る。
「お前たちも気を抜くな」
一気に三つの影が煙へと消えた。