ダーク・ファンタジー小説
- Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.245 )
- 日時: 2013/10/07 22:51
- 名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: T3UB3n3H)
第一話 一緒に…
お前なんか、お前なんか、消えてしまえばいいのに。
邪魔なだけだ。
何で存在しているの?
沢山の言葉が突き刺さる。
止めて、止めて。これ以上そんな言葉を吐き出さないで。
痛くて、辛くて、怖くて…。
とてもとても悲しいんだ。
ずっと蔑まれてきた。
疎まれてきた、この存在。
気が付けば笑う、なんてことは出来なくなっていて、自分でも驚いた。
鏡の中の自分の顔には何の変化もない。
少し不思議に思った。
あの日は、集会とかそういうものがあったから、外へ追い出された。
終わるまで帰って来るなといわれた。
もう泣くなんてことは出来なくなっていて。
外は雨。
傘なんてもらっていない。
雨に打たれながらその辺を歩いていた。
別に初めてじゃないから、見飽きた景色。
少し遠くへ行ってみようと思って、駆け出した。
そこで、出会ったんだ。
最初はゴミだと思った。
大きな大きなゴミくず。
でも違ったんだ。
モゾモゾと動いていて、手があって、足があって、ぼさぼさの髪の毛があった。
あぁ、人間なんだ。って感心しちゃって。
ふと、それが顔を上げた。
吸い込まれた。
うん、本当に、吸い込まれたんだ。
何もない、空っぽの瞳が、目の前を歩く幸せそうな家族を見て悲しみと憎しみの色を灯した。
でもすぐにそんな色は消えて、また透明になった。
あぁ、この人も一人なんだ。
同じ。同じなんだ。
一人なんだね。
『・・・君はだぁれ』
雨なのか涙なのか分からない。
水滴が頬をぬらす。
急に声をかけられて驚いたらしい。
目を見開いてこっちを見て、少し俯きがちに声を出す。
『俺、は・・・』
かすれた声。
久しぶりに出したのだろうか。
自分でも分かる冷たい手で、頬に触れた。
温かい。
冷たいかな、と思ってたのに、温かい。
生きているんだ。
『ねぇ、独りなら・・・』
一人は寂しいよ。
悲しいよ。
『ウチと一緒に・・・いてくれないかなぁ・・・』
初めて他人に懇願した。
精一杯の甘えなんだ。
もう一度驚いた顔をした。
『俺が?』
こくり、とうなづく。
彼の口が閉じ…開いた。
『うん…。君の、側にいる…』
初めて、他人から愛をもらった瞬間だった。