ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

第二十一話　今は・・・
　


「それでそれで！さっきのは一体なんだ！？」


目をキラキラと輝かせながら、手李拏は振り返った
その様子に、凪はため息をつく


「とりあえず研究所へ入ろう・・・？」
「え？あー・・・うん、そうだな」


手李拏はうなづいて、扉の方へとかけていく
凪はもう一度ため息をついた

この兵器とともにいると自分が分からなくなる・・・

静かに目を伏せた




まだ“人間”だったころの私
そんな“私”を覚えている私がいる
普通、人間兵器は過去のことを忘れる
機械として・・兵器として生まれ変わるのだ
だから、なぜ自分が人間兵器になったのかを知らない
ただし、人間兵器になった理由については、新たに目覚めたときにその場の博士に教えてもらう
家族構成などは知らぬまま
ただ、理由だけを知っている

凪も魔神に教えてもらった





それだけなのに・・
教えられたのはそれだけなのに・・

私は、覚えている
否・・思い出している





「おーい、凪ぃ？どうしたんだよー！」


手李拏の呼び声に顔をあげ、手を振る
すると、手を振り替えしてきた


「早く来いよー！」
「あぁ！」


返事をして、走っていく


なぜ覚えているか
なぜ思い出すことが出来るのか
今でも悩んでいる

だけど、今は



「遅ぜーよ、凪」
「あぁ、ごめん」


なぜだか心地のいい今を、味わっていたい・・