ダーク・ファンタジー小説
- Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.96 )
- 日時: 2012/10/10 20:58
- 名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: AKehFwYl)
第三十七話 見張り役
「あれ?お友達ー?」
手李拏を見ても表情は崩さずに、凪にそう尋ねた
「おかえり、魔神」
「うん、ただいま。で、その子誰?」
凪の飲みさしのミルクをグイッと飲み干す彩女
「任務で同じだった手李拏だ」
「テリナ?へぇー、そうなの」
「あ、えっと・・・手李拏っす」
ペコッとお辞儀をすると、彩女はニッコリと微笑んだ
綺麗な人だな、と手李拏は思った
今まで見てきた人間の中で、一番綺麗だと思った
「うちの凪に怪我とか負わされなかった?へーき?」
「へ?全然大丈夫ですよ!」
「そっか。良かったよかった」
そういって笑う彩女
凪は静かに二人のやり取りを見ていた
「ねぇ、手李拏クンの博士って誰?」
「夢星朱亜博士だ」
「あー、梅干ちゃんね」
凪にミルクのおかわりを要求しながら彩女は言った
「えっと、夢星だけど・・・」
「うん、梅干ちゃんね」
引きつる笑いを浮かべる手李拏
彩女はそんな手李拏に目もあわせずに言い放つ
「キミはその博士の見張り役ってワケだねー」
ピシッと何かが固まった
凪の瞳もわずかながらに驚きを示した
彩女は砂糖菓子をつまむ
「・・・なんだって?」
「キミは見張りなんでしょ?幼い博士ちゃんのさ」
不気味な紫色の瞳がこちらを射抜く
「・・・」
「ほら、正解だ。別に隠さなくてもいいのにネー」
クスクスと笑う彩女に、凪は淹れたミルクを手渡す
ありがとう、と礼を言って一口飲んだ
手李拏はうつむいている
「あの子が造る人間兵器は平和的だよネー。しかも捨て子でしょ?だからあの研究施設で育って博士の称号を得たんだよね〜」
陽気に話す彩女
手李拏の拳がフルフルと震えているのを、凪はその瞳にうつした
「だけど周りの人は良く思わなかったんだよね?だから監視役がついたんだよね?」
こちらに尋ねるように言ってくるが、彩女はすべてを知っている
そう手李拏は確信している
瞳がそう物語っている
「挙句、人間兵器まで・・・。キミも夢星博士の命令だけに従ってるんじゃないでしょ?」
他の人からも・・。と口をゆがめた彩女
ダンッと手李拏が拳を突きつける
その瞳は憎悪で満ちていた
「危ないナー、手李拏クン」
妖美に笑う彩女は無傷
手李拏の拳は凪によって受け止められていた
いや、凪が空気中の水蒸気を集めて氷を作り、それで受け止めさせていた
かなり頑丈な氷だ
凪が手李拏を見る目はひどく冷たく、同じように手李拏が凪を見る目は憎しみのまなざしだった