ダーク・ファンタジー小説

序—神は言った。「何て残酷なのだ」と— ( No.1 )
日時: 2013/08/22 22:10
名前: 幻灯夜城 (ID: tf4uw3Mj)

—今となってはもう思い出せない。
——私を満たしていた思い出は、もうからっぽ。

昨日と同じ今日、ずっと変わらない日常。
人々は当たり前の様にその日常を過ごしていた。

だが、人々は気が付けなかった。
平和な日常を侵し始めている存在がいることに。

昨日まで話していたアイツが

優しかったアノコが

異形の存在に"すり替わられている"事に。

そして、"彼ら"は人々に気づかれることなく、日常を侵食していく。
思い出を奪い、すり替わっていく。

やがて、人々の間で噂が流れ、いつしかこう呼ばれるようになる。
記憶を食らう"黒い"生命体。『クロキモノドモ』、と。

同時に、彼らを狩り、日常の侵食を食い止める人間も存在した。
彼らは異形の存在の記憶を刈り取り、無へと帰し続けている。

その者達の名は、『Memory Breaker』。
『Memory Weapon』を振るい、彼らの記憶を刈り取る者達。

そして、

記憶の破壊者。そして、"思い出を失った者達"。

——————————

"彼ら"は今日も力を振るい続ける。
自分のため、家族のため、友のため、明日のため。

そして、未来永劫彼らは力を振るい続けなければならないだろう。
人間の思い出を奪い摩り替わる存在、クロキモノドモが消えるまで。
彼らの記憶を狩り尽すまで。

————大切な記憶を取り戻すまで。