ダーク・ファンタジー小説
- Re: -deviant- 異常者たちの物語 ( No.3 )
- 日時: 2013/09/17 03:34
- 名前: エンヴィ ◆3M6zglQ7Wk (ID: 9ofUG3IM)
Chapter 1.
2
- - - - -
「やぁ、随分暇そうにしてるじゃないか」
不意に、俺たちに声をかける者がいた。
「え?」とキョロキョロ周りを見回すシーニーに俺は
「上だ。いい加減慣れろ」
と教えてやった。
俺が見上げる建物の屋根の上には、炎のような見事な赤髪をした少年が猫のようにてっぺんに座っていた。
「お前、またそんなところに登ってるのかよ……ロッソ」
「あ、いた〜!ロッソお兄ちゃんだ」
ロッソ、というそいつはニヤリと不敵に笑って言った。
「高いところが好きなものでね。君たちもこっちに登ってこないのかい?」
「遠慮する」
俺は呆れながらも言った。
「どうせその屋根に登れば、どっかに隠れているお前の『兄妹』が狙ってくるんだろ」
すると、今度はロッソの後ろからヒョイ、ともう一人のロッソが顔を出した。……否、そっちはロッソではない。よく見ると、体つきや服装が若干女らしい……と言えなくもない。
そっちの女のほうは、唇を尖らして文句を言ってきた。
「なんだよー、ちょっとくらい遊んでくれてもいいじゃんか!アーテルの奴ノリ悪いぞ!」
「まぁまぁ、今回は失敗しちゃったんだからボクたちの負けだよ。ルージュはいったん落ち着きなって」
ロッソは、自分の双子の妹——ルージュをなだめた。
まったく、こいつらも同類か。俺たち同様、随分暇しているようだ。
俺がそう考えている間にも、シーニーは建物のしたでピョンピョンはねながら、
「ねー降りてきて一緒に遊ぼうよ!戦争ごっこしよう!」
と2人に話しかけている。
「おっ、戦争ごっこか!久しぶりだな〜、アタシはいいぜ!」
「え〜、ボクはちょっと飽きてきたんだけど」
「なんでだよ!?面白いじゃんか、ロッソも付き合え!」
ルージュに服の裾をぐいぐい引っ張られて、ロッソは屋根を降りてきた。
俺の見解からして、この双子はだいたい10代半ば。しかし、ルージュよりもロッソのほうが精神面ではかなり大人である。
……ただ単にルージュがガキすぎるだけ、ということもあるが。
俺はもちろん、そんな『戦争ごっこ』とやらには加わらないので、適当に座る場所を見つけてそこでシーニーたちを見ていることにした。
- - - - -
「いっくぞー、『大砲よーうい』!!」
「どかーん。」
「ロッソ!もっと気持ち込めてセリフ言えよ!?」
ギャーギャー騒ぐルージュと、真逆なテンションのロッソ。完全に投げやりだな。
それに対してシーニーは、
「第一部隊〜、突入!」
とかなんとか言って、棒切れを振り回して突っ込む。
「なにぃ、敵の先制攻撃を許しただとっ!ルージュ部隊、反撃に移る!」
「うん、がんばって」
「お前も戦うんだよ馬鹿ロッソ!」
「え〜だるいなぁもう」
……なんというか、うむ。平和だ。