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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 地下の帝国 ( No.10 )
- 日時: 2012/05/26 09:15
- 名前: 呉羽 (ID: MrVVEkO0)
- 参照: http://tikanoteikoku
暗い屋敷の中。
男は一つの影と対峙していた。
美しい造りの壁。上から垂れ下がるシャンデリア。
彼らの座っている椅子もたくさんの装飾に覆われている。
ほかにも、綺麗な宝石箱。趣のあるランプ。それから…。
その部屋にはそんな物が溢れかえっていた。
そのすべてに明るい光を当てたなら、
煌びやかに輝きだすことは間違いないのだろう。
しかし、蝋燭の明かりしかないその部屋はとても薄暗く、不気味で…。
その部屋中に散らばるそれらも、
そんな雰囲気を掻き立てる飾りでしかない。
その不気味な世界のなか、男がにこやかに笑った。
「さて、これでゲームを始めるにあたって必要な駒が出そろったねぇ。」
男は白いチェスの駒を手で弄びながら影を見つめる。
「少しは、楽しんでくれているかな?」
へらへらと笑っている男に影は軽く肩をすくめた。
『退屈だ』とでもいうかのように。
その応えに男は満足そうに頷いた。
「まぁ、そうだろうねぇ。ここまでじゃ何もわからないもの。」
蝋燭の火が不規則に揺れる。
その光が映し出した男の顔には、
面白いオモチャで遊ぶ少年のような無邪気な邪気が込められている。
「さて、話を続けよう。———安心してくれ。
私も退屈なのは大嫌いだからね。そうはならないように努力しよう。」
「さぁ…面白い話になるといいのだけどね。」
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