ダーク・ファンタジー小説
- Re: STRONG! ( No.23 )
- 日時: 2013/10/07 23:50
- 名前: 多寡ユウ (ID: mVHy..WT)
12月22日
午後8時27分25秒
元日通西方ビルにて。
もう使われていない空きビルの一室での作戦会議が終了した後、各々は手持ちの武器の確認をしていた。
その中でもリンはどこから調達したか定かではない自前のアサルトライフルM-16の調子を確かめながらうーんと唸っている。
「4キロってのは重過ぎるかな・・。でも初速は1000m/sだし、これ自体も女性仕様だから我慢するしかないか・・」
「おいおいリン、お前そんな大型銃器じゃなくてトカレフみたいな自動拳銃にしたほうがいいんじゃないか?動きにくくなるのと火力だったら今回の作戦だと断然前者を優先したほうがいいと思うんだが」
「カッ、ウチはロシア製とか中国製には手を出さない主義なの!ンでもって射的距離なんて50m程度だし、装弾は八発っきゃ入んないし、まあ軽いけど?確かに軽いよ1キロないし、軽いけどネ?」
「ならいいじゃないか、どっちかで」
「でもウチ、トカレフもマカレフも嫌いなんよ」
「大丈夫、トカレフもマカレフもきっとお前のことが嫌いだから」
「・・・・・・さぁてと!・・いや、うーん。やっぱし、ここは9mm機関拳銃かな。3キロあるかないかで、25発装填可能だもン。発射速度もンな遅くないし、やっぱこれかにゃ!アイラブメイドインジャパン!」
「・・片言英語で喋るなよ、馬鹿さが俺にうつるだろ・・」
かなりの小声で言ったつもりだった。だがしかし。
「おい、なんか言ったか」
瞬殺でした。
「いや、今日は良い天気だなぁって」
「なんつったか言ってみ」
「今日は良い天気だな」
「おーし、そこで止まっていてくださいシュウさん。今アサルト調整しますんで」
「それで一体何をするつもりなんだいリンさんや?」
「撃っちゃうつもりしか持ち合わせておりませんが何か問題が?」
「いやおい問題しかねぇよ」
寒い沈黙の後、鈍い機械音が鳴り響く。
カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ、と。
「カチャカチャカチャカチャ、チャキジャキ・・・・。調整終わりましたシュウさん。あ、シュウさんの後ろに敵がー。先輩伏せてクダサーい」
「棒読みで怖いこと言わないでおくれよ。とりあえず手は上げるけどさ」
「結構敵が大きいミタイデスネ。ちょっと乱射しちゃうかも」
「乱射ってオイオイ。俺の命は俺が手を上げるだけじゃ守られないのかよ」
「戦場でンなこと聞いてくれる兵隊さんがどこにいますか。敵が居たら即座に撃つか、“手をあげろっ!!”って言ってから撃つかのどちらかにゃ」
「なんやかんだで撃たれんのか。でも今それ撃ったら他の一般人にも迷惑かかるぞ」
迷惑が多少かかるのは仕方が無いにしても他の民間人、中でも働く残業マンに銃撃戦の流れ弾が当たることは避けなければいけない。
「なんやかんだでこれから迷惑かけにいくから一緒ダし。それに知ってるかシュウ」
「なんだよ」
「お前の背後に広がる東京の素晴らしい夜景はな、会社員の残業で出来てんジャよ。考えてもみろ、何も知らないガキが旧最長電波塔であるスカイツリーに登って夜景見て、あーっキレイ!!って言っている傍で、その夜景を作ってんのがそのガキの父親だとしたらよ」
「シュールだな。実話か」
「ウチの遠い友達の話だにゃ」
「なるほど。実話か」
「だからお前、人の話をだにゃ・・・・っ!!」
一悶着の後、彼らは思い思いの日常を過ごしながらある種の喧嘩を開始する。