ダーク・ファンタジー小説
- Re: STRONG! ( No.25 )
- 日時: 2013/10/14 01:04
- 名前: 多寡ユウ (ID: mVHy..WT)
「セナさん、戦闘準備終わりましたか?」
遠慮気味にシュウが訊ねる。参謀の一角の重要人物であるセナは噂によると実力偏差の高い能力の持ち主らしく、女性で白髪という特徴を知っているが、常にフードを被っているセナの顔は未だに見たことがない不可思議なセナから伝わる覇気はそれ相応の重みを感じる。
それに対し、深くフードをかぶった白髪の少女は迷惑そうに頬杖をついた。
「私は作戦会議の時点で終わってる。あなた達が遅いだけ」
「あ、すみません。少しリンと話してたら・・」
「人の性にする前に準備をして。あなたとリンが一遅い」
「あ、本当にすみません」
「誤っている暇あったら準備を急いで」
「は、はい・・・・ 」
ペコリペコリと何回自分より背の小さいセナに頭を下げただろうか?と、シュウは自分が男であることを自覚しながら思った。確かに世間一般においては強いものがいつ何時でも勝者であるはずなのだが、どうしても彼女には勝てる気がしない。
霊長類最強の吉田沙織選手に男が歯が立たないのと同じ感覚に、言葉が出ない。反論が出来ない。
「そんなきつく言わないでいいんじゃない、セナ?・・シュウなんて、まだ入ったばかりなんだから」
「・・レイ、甘やかしては駄目。この子をリンみたいには絶対させない」
「ちょ、それどーいう意味なのかなリンっ!?」
「そのままの意味。お調子者にシュウが成り果てないように、調教する」
「怖いこと言わないでくださいよ・・、セナさん・・」
「ぞーだよセナ!?ウチお調子者じゃないし!」
「じゃあ、二人とも私の邪魔にならないよう気を付けることね。でないと、馬鹿共は撃ち潰す」
流石にシュウも反論の意を示そうと、ゴキブリが動くときのようなデシベルで密かに言い放つ。
しかし悪口と言うのは速く知れ渡るもので、明らかに聞こえなさそうな音をキャッチしたセナに反撃の翼を与えてしまう。
「・・・・・・おいおい、人の話を最後まで聞こうぜ・・・・・・」
「何、シュウ?」
「いや、何でもないですセナ様」
「そ、ならいい」
はぁ、とシュウは前途多難な一日になりそうな日々にため息を吐いた。