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ダーク・ファンタジー小説
- Re: STRONG! ( No.38 )
- 日時: 2013/11/21 20:27
- 名前: 多寡ユウ (ID: mVHy..WT)
恐怖ゆえか急停車さえしない電車が彼に向かって突進したと同時に、彼はそれの先頭車両の先端を自身の握力だけで受け止め、《握り締めた》。
「メキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキ、メキッッ・・・・!!!」
刹那にして電車の各車両の端々が分裂し破壊されていき、窓枠が外れ高らかな音を立てガラスが粉砕していく。
「もー、邪魔しちゃ駄目だよ。今いいとこなんだから」
無残な惨状が見せ付けるのは、脱線し死傷者幾人などという生易しい自体では済まされない程の光景。電車は大きく横に傾き、通常の脱線では破壊出来ない様な箇所まで大破したそれは、もう既に一つの鉄塊と成り果てていた。
彼はそれを目の前にしながら、運転席で横たわる血まみれの車掌に向かって歩き出す。
「電車のスピードを減速してくれれば、もうちょっと生かしてあげようかなと思ったけど。やーめた」
彼は意識を辛うじて保っている様子の車掌の頭を彼自身の手で鷲づかみにし、先程この電車を大破させた握力で車掌を《握り締める》。
「う・・、う、やめ・・」と苦痛の呻き声をあげながら身を悶えさせる車掌に。
「だから、やだって」
「や、やめ・・やめろ。やめろやめろやめろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!?・・・・・・・・・・・・・・・・・・グチュ、ジュ・・」
彼は頭を《握りつぶす》という、最悪の形で受け答えた。
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