ダーク・ファンタジー小説
- Re: 大罪のスペルビア ( No.47 )
- 日時: 2013/12/31 02:23
- 名前: 三井雄貴 (ID: 0YtH4wPS)
以上です。長々と漢字ばかりの文を書き続けましたが、最後まで読んで下さった方はありがとうございます!
実は、本作は私の構想する“大罪のスペルビア”の1エピソードを圧縮したものに過ぎません。尺の都合上、割愛することになってしまいましたが、お蔵入りした話も機会があれば是非とも執筆したいです。
最後に、現時点で内容が固まっているシリーズの一部を時系列順に、軽く紹介してみたいと思います。
・ “バアル征討”
ルシファー(初代大天使長)、メタトロン(宰相)、ガブリエル、ラファエル、ミカエル、ウリエルの六柱からなる熾天使を中心とした天使方がその勢力を拡大してゆく様を描いた、最初のエピソード。
神の威光を示すため、いまだ天使方の元に馳せ参じない凶悪な邪神モロクを打倒すべき、というラファエル、ウリエルらの主張が天界を席巻していた。ルシファーは、さらなる敵に備えて戦力は温存すべき、と話し合いで解決するためモロクの森を訪問。その圧倒的な覇気で、戦わずして彼を傘下へ収めることに成功する。
版図を広げ続け、気象を司るバアル神と一触即発の事態に至った天使方。これらを屈服させるため、熾天使の一角であるウリエルが派遣された。ウリエルの軍勢はバアルと、彼に与するアシュタロトの眷属を悉く打ち破る。降伏勧告が受け入れられなかったため、ウリエル側は総攻撃を開始するも、雨と風を自在に操るバアルの前に、炎の天使であるウリエルは完封され、部隊も壊滅して作戦は断念。
ウリエルが敗れたことを受け、ルシファーが「勝者の軍門に下る」という条件で、バアルと決闘を行う。ルシファーが辛勝し、バアルはアシュタロトと共に忠誠を誓った。ルシファーは、二枚しか翼を持たぬゆえに下賤と扱われていたベルゼブブの実力を評価し、アシュタロト撃破の功で彼女を熾天使に昇格させる。
・ “屠竜戰役”
過去篇の続きで、隆盛を極める天使方の光と影に迫る。
竜王フューラーより族長の座を譲り受けた竜帝フォルテは、竜族こそが最も尊い存在であると宣言し、天使や人間の排除を掲げた。天使方は天使が至高でありながら、竜族や人間と共に生きるという姿勢をながらく保っていたが、遂に竜族と開戦。
当時まだ実績に乏しかったミカエルが先鋒を買って出るが、竜鬼ラファール率いる部隊に一蹴される。竜族を本格的な脅威と見なした天使方は、ルシファーやガブリエルをはじめとする主力を以て制圧すると決定。大規模な激戦が繰り広げられる。フォルテ自ら天使軍に大打撃を与えるが、最後は想像を超えるルシファーの力に捻じ伏せられた。
この戦により、竜族は絶滅。唯一の生き残りとされるフューラーも、行方を眩ませた。
・ “天界大戰”
過去篇の最後にして、山場となる話。
誰もが畏怖する大天使長ルシファーへのミカエルの複雑な想いは募り、いつしか兄弟は擦れ違い始めていた。ルシファーが天使方より離反を宣言したことで、二人の溝は決定的なものとなる。ベルゼブブ、バアル、アシュタロト、マモン、モロク、パイモンなどの有力な諸侯も彼に従って下野。ガブリエルを買っていたルシファーは同行を促すが、彼女は様々な理由をつけて様子見に徹する。
指導者を欠いた天使方ではミカエル、ウリエルら主戦派に対し、ルシファーの実力を理解しているがゆえに激突は回避すべきと説くガブリエル、中立ではあるが事が起これば死力を尽くして立ち向かうというラファエルなどに意見が分かれていた。その矢先、別件の罰で天界を追われた強力な智天使のベリアルとアスモデウスがルシファーと合流したと判明。これ以上ルシファー一派が強化される前に叩くべきという声が押し切り、ミカエル、ラファエル、ウリエルを含む征討部隊が出陣する。堕天使側でも、強硬論を唱える元熾天使のベルゼブブが支持を集め、戦闘に突入した。
盟友ルシファー挙兵を知ってアモンも加勢し、序盤は天使方を圧倒。堕天使たちの猛攻に、やむを得ずメタトロンも重い腰を上げる。ルシファーと同等かそれ以上の戦闘力を誇るメタトロン参戦で多くの堕天使が斃され、戦局は膠着。堕天使側は再び攻勢を仕掛けるが、乱戦の最中ミカエルとの一騎討ちで闇へとルシファーが堕とされ、戦術に乏しい残党は各個撃破された。
乱の鎮圧後メタトロンが新たな大天使長と目されるが、多くの犠牲に嫌気が差し、ルシファーを退けた戦果からミカエルを推して一線から退く。以後、メタトロンは四大天使に意見と承認を与えるだけの顧問となり、第二代大天使長に就任したミカエルの実質的な独裁政権が確立されることとなった。
・ “終焉の方舟”
後日談にあたる外伝。
本作の六年後、デアフリンガーは、旅の途上で地下闘技場に立ち寄った。無敵を誇る仮面の女賞金稼ぎと対決し、逞しい青年剣士に成長した彼はこれを下す。その剣技から彼女の正体がイヴだと見破り、再会を喜ぶデアフリンガー。ふと訪れた教会で不思議な悪魔たちとの思い出に浸る彼らは、歪められた悪魔の真実を少しでも伝えようと修道女となっていたアザミに出くわした。重なった偶然は“世界の理”による導きではないかと思案する二人に、次期ソロモン王の座をめぐる政争に敗れた宗教勢力の指導者パストール卿が懇意であった軍部を頼って悪魔ベリアルを召喚しようと計画しており、自分も儀式に同行させられると彼女は明かす。
ルシファーならどうするか考えたデアフリンガーとイヴは、降霊が実施されるという艦隊の旗艦に潜入。ベリアル復活を阻止すべく、彼らは徹底抗戦を決意する。多勢に無勢、二人は捕縛され、遂に絶望と共にベリアルが降り立った。
同じ頃、デアフリンガーの預かっていた魔王剣カルタグラを触媒に別の悪魔も現世へと姿を現し、海軍大臣と接触する。圧倒的なベリアルの力を召喚者であるパストールも御することが敵わず、誰もが覚悟した時、魔王ルシファーが燃え盛る甲板に舞い降りた。
対峙する両悪魔。一方、解放されたデアフリンガーは、船の最深部でパストールの娘という不思議な少女を見つける——新時代の方舟が齎すものは光か、それとも闇なのか……世界の命運は彼らに委ねられた。