ダーク・ファンタジー小説

Re: 僕等の不思議怪談学校【オリキャラ募集中】 ( No.17 )
日時: 2014/02/20 08:08
名前: 梅雨前線 ◆j5KZfkTVqc (ID: gF4d7gY7)

今晩は!
今回から#を付ける事にしました(笑)
引き続きオリキャラ&怖い話御願いします。

>>13

「…いない、な」

書き込み通りに2階に上がって見たが
誰も居なかった。
葵は ふむ。と考え込む。

(嘘を付く理由が見当たらないし…アイツ等の乱入?いやIDは同じだったから 無いな。)

チャンネルで由月達に声掛けしても一行に帰ってこない。…思った以上に深刻だったらしい。

まぁ大丈夫だろう、と鷹を括ってた此方の不注意で もし2人の命に何かあったら…ままならない自己嫌悪が頭の中に居座る。

もし もっと早く行動しとけば?
もし もっと深読みしていれば?
もし もっと危険を察知すれば?

こんな事態には陥らなかった?

過去は塗り替えせないし、巻き返してやり直す事も出来ない。
出来るのは前に進むだけーーーー
そう、これからが問題。
なのに分かってる癖に 未練がましく自己嫌悪がぬるりと張ってくる。
まるで雲の中を歩いているかの様に前が見えず、足元も危うい。

振り切りたいのに振り切れない。
体の内側から少しずつ壊れそう。
熱いのに痛くない。
痛くないのに辛い。

心が不安と自己不満に揺れる。

「葵」

ポンと肩を叩かれ、ふっと意識を取り戻す。
ぶれていた視線が ゆっくりと戻ってくると同時に雲を歩いているような浮遊感も消え、現実へ戻される。

直ぐ前に零が 人を殺せそうな程に鋭く冷たい目付きで僕を見ていた。そして読んでいるかの様に滑らかに語り出す。

「"皆が傷ついてしまったのは、俺の不注意だ"、"もし俺が、もっと早く行動しとけば"…そんな"もし"とか葵1人で責任を追おうと思ってんなら…
俺、この世界に残るから」

「は?」

いきなりの急展開で意味が分からない。彼は何と言ったのだろうか?
音は聞こえたが言葉は全くして聞こえなかった。
そんな僕を気に留める事なく
かつて僕等に向けた笑顔とは比べ物にならない程に柔らかい笑みを浮かべて、軽やかに楽しげに悪魔の様な言葉を囁く。

「後ろ向いてちゃ前に進むのを躊躇ってしまう。その躊躇いが蓮の命に関わるとしたら?
そんな奴は蓮の側に居て欲しくない…会ってほしくない。ならいっそもう、蓮と俺は此処に居たい。」

「………君は夏に自由人と言われて否定してた。そんな事を言ってても"自由人"とは言わないのかい?」

微かに肩が震える。
動揺したと思いきや、笑っていた。
ーーーまるでイタズラを成功させた子供の様に。
何か違和感を感じる。他でもない目の前に居る彼から。
決して見逃しては…見逃したら もう後が効かないような違和感が。

「違う、お前らは限度を見極めてからふざける。…俺は、蓮が有利になる様に事を運びたいから 状況を考えないで動く。…この違いが分かるよな、お前なら」

「分かるさ、僕達は その限度を、自分で決め、君は…蓮で決める。
確かに"君は"自由人ではない。」

早鐘の様に鳴り響く 心臓を押さえつけ 辛うじて声を出す。
落ち着け、と頭の中で何回もリピートするが、自分でも効果が発揮出来てるとは肯定出来ない。

それに何より不安感を煽るのは彼の余裕な笑み。
先程の発言では"君は"を微かに強調させたのだが、彼は一行に顔色を変えない。

気がついていないのだろうか?
それとも気がついてないフリ?



ーーーーーーーーー分からない。



分からないのは情報が足りないが故に起こる。
情報が無いのは これからの事を最小限すらも予測出来ない事と一緒。

…予想出来ないだけで人は 恐れ竦んでしまう。



なんて か弱き生き物なのだろうか。


そんな僕の心情を知ってか知らずか返ってきたのは「その通り、流石俺らのリーダー葵だ。」と元の世界に居た時、零からの問題を僕が答えた時の返事と何ら遜色のない返答のみ。

「そうか君は蓮の王子様で有り続けたいんだね、…蓮が願ってなくても」

「それも検討外れ、俺は王子様になりたいとか考えてねぇよ。…俺は、蓮を守りたい。それだけだ。
で、何考えてたんだ?」

「………零が言ってた通りの事を思ってたよ。しかし今回だけだ」

「………」

零が疑うかの様に 僕を見やる。
先程までの笑みは何処に消えたのか
ナイフの様に爛々と鋭く輝く目に変化する。…まるで獲物を吟味している肉食動物の目の様だ。

その目を見てると、腰が引けて どうしても…本能的に"逃走"を選択してしまいそうだ。"辛い"その一言に尽きる。




どれ位 そうして居たのだろうか。
フッと視線が緩む。

「………………なら良いんだけど。
それにしても どうすんだよ…居ねぇじゃん…」

グルリと周囲を見渡す彼には先程まで痛い程主張していた違和感も肉食動物の様な危うやも消え、僕の知る"七瀬零"だった。

「…仕方がない。由月達に 其の事を伝えておくか…」

「いや、場所移動しただけじゃ?」

「そんな物だったら良いのだが、生憎此処は最悪異世界という線も有る
つまり、何でも彼方に有利な世界…
何が起こるなんて分からない。」

「…まだ異世界だと決まってない」

「先程から感じていたのだが…どうした、君らしくない…」

「こんな狂った場所に居ても平常運転なお前の方が可笑しいんだよ!
流石自由人!!ぶれない!!この万年中2患者!!!」

「…前言撤回だ、有る意味君らしい
これからもツッコミを磨いてくれ。
それと中2患者は否定させてもらう」

「もうヤダこいつ…orz」

「orzなんてやったら汚れるだろ。
ほら、早く立つんだ。…それと書き込みはしたから」

「いつのまに!?」

「僕を舐めるなよ、零」

「凄くうざいよ、お前。由月並み」

「心外だね。」

やや不貞腐れたらしく、スタスタと前を 先程よりも早めに歩く零の後を
滲み出てしまう笑いを噛み殺しながらついてゆく。

チャンネルを見ると、予想通り直ぐ民が食らいついてきて、お芝居の様な御ふざけが繰り広がれていた。
一応チラホラ心配してるコメもあるが結局は"四季達だから"とか"フラグ的に"とか曖昧な物で 安全だと決めつけられてしまう。

正直良い気分はしなかった。
知ったかぶりにも程が有るだとうと
喝を入れたい気分だ。

(所詮は 他人事…だからな)

この民のテンションは 馬鹿らしくて面白い。しかしそれは家などで ゆっくりと眺めて…ROMとかしている時に限る。
実際に当事者側になってくると、中々話が進まないのも困るし、直ぐ脱線してしまい苛立ってしまう。

………それにしても遊びすぎだ。
あんまりレスも消化して欲しくないし、余りにも脱線し過ぎてると重要なコメが埋れてしまう可能性が有る

心の中で深い溜息をついたあと、簡潔に脅迫に近しい文章を投下する。
それと同時に一気に静まり返るレス

ここで下手に褒めたら また騒ぎ出してしまうのは、何と無く空気で分かる。雑談レスになりつつある自分のレスを少々遡って見たら、四季信者など馬鹿げた者がかなり居た。

たった数時間の数コメントの間で信者を獲得出来るなんてお手軽だね。そんな皮肉れた感想を持ちつつも片手で携帯を弄りながらも新しい事柄はない周囲に目を光らす。

ふと数歩前に居た零が立ち止まる
そして、嬉しそうに微笑みながらも振り向く。
そして一言。

「渡り廊下見つけたっw」