ダーク・ファンタジー小説

Re: 銀色に燃えるキャンドル —双眸— ( No.11 )
日時: 2014/03/03 16:26
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

to翔太

だから俺にとって この場所は なんだか特別な気がする

(いっそ、国境まで行ってみるか)
壊れたピポットとトランシーバー

これは、人間界のもので、ここで直せる方法はない。
確か楓が 充電器は持っていたけれど……。

それにソーラー電池もついてる…けど今の俺に その機能は意味がない

まず壊れているから。

「つまんない」
ひとりで石を蹴っ飛ばした。

黄昏の街並みも、真っ暗になってきて、森を通り抜ける俺の視界はますます悪くなる。

「……助け、て——」
声が わずか…ほんの少し、聞こえる。

「誰だ?」
俺は周りを見渡す。

「…助…けて」
(あっちか!)
低木があり、わずか影になっているところを 雑草を抜けて俺は入っていく。

「…誰…だ?」

「助け、て——!」
だんだんと声が大きくなっていく

「どこ…?だれ…」
だんだん俺も怖くなってく。

「こっち——・・助けてくれ。…水、水…」
俺は見事に 持ち合わせに水を持っている

でも だんだんかきわけて行くうちに、声だけを頼りに歩いているから道がわからず

「あるぜ!こっちに 水ならいくらでも!!食いもんもあるぜ いくらでもあげるから 俺を助けてー!」
なぜか俺は 逆に助けを求めていた

————————
to楓

そうだ。これは嘘だ

嘘だと思いたい。


あの、翔太が。
あの、翔太が消えるわけはない。

「え?」
優希が、経緯を教えてもらい、自分のピポットを見つめた。

「俺のにも 翔太が無いな」
そう言うと、頭の回転の速い優希が、トランシーバーを取り出した

「翔太…っと」
——————
トランシーバー

1 翔太
2 楓
3 優希
4 志乃
5 遥花
———————
トランシーバーの数字を押せばその番号通りの人にかかる。

「…あれ?」
トランシーバーは、向こうが持っていれば バイブが送られて、振動が伝わるから気付くはずなのだけど。

「…あたしもかけてみるね」
あたしも、トランシーバーで「1」を押した。

ツーツーツー・・・・・・


「…かからない」
あたしもそう言った

「後で出直してみよう。…それにしても、遥花遅くない?」
志乃が言った。

「…あ。確かに。俺、見てくる」
優希が、いざとなったら、これで。と、トランシーバーを掲げて見せた

「なるべく、早くかえってきてね」
志乃が隣で手を振った